『エージェントなお仕事』は笑って泣ける クァク・ソニョンらがスターを支える裏方に
中堅マネージャーであるジュンドンは、俳優思いの優しい人間だが、新人女優に恋し嫉妬にかられてしまう。そこで見せたジュンドンの姿は、のちに彼を苦しめる事態へと向かうのだが、それを知る由もないジュンドンが投資会社社員に見せたパフォーマンスに大笑いした視聴者も多いのではないだろうか。心優しい彼だが、女性関係には疎く、いまだ愛し愛される関係には至っていない。ジュンドンの恋の成就を応援したい。
理事であるテオの家庭の話や、『イカゲーム』で一躍世界スターとなったホ・ソンテ演じるク・ヘジュンのことにも触れておきたい。テオは、やり手で仕事で敏腕を振るいながらも、自身の過去のことで家庭に亀裂が走っている。テオを演じるイ・ソジンの魅力である“えくぼ”も健在で、渋みを増したソジンがスターや妻や子どもや、女性たちに右往左往するのも見どころだ。そして、ソンテだ。イカゲームを観た人が思わず笑ってしまうエピソード回がある。メソッドエンターの新代表として現れたヘジュンの存在感たるや、さすがだ。ヘジュンの恋のシーンはコメディタッチに描かれていて、トキメキからの爆笑を生み出してくれるシーンとなっている。
各エピソードごとに、豪華スターたちが登場し、彼ら彼女らの持つリアルな悩みが打ち明けられる。女性の年齢や、整形、決まった役柄に対する苦悩、忍び寄る老いとの戦い、観ていてホロリとさせられる場面も多い。人気ドラマのパロディも多く、『マウス』のイ・ヒジュンや、『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』のパク・ホサンとオ・ナラ登場の回は、やり取りに抱腹絶倒させられた。ほかにも『パラサイト 半地下の家族』のチョ・ヨジョン、『エクストリーム・ジョブ』のチン・ソンギュ、そのほか観てのお楽しみな豪華カメオ出演者が盛り沢山なので楽しんでもらいたい。
シーズン1は全12話で終了したが、オリジナルのストーリーは続いていることもあり、本作もシーズン2に続くような展開で幕を閉じた。メソッドエンターのみんながさらなるスターたちの登場とともに、奮闘するさまを続けて観たい。軽く観られながらも、涙あり、笑いありでホロリとさせられたり、ジーンとさせられるシーンやセリフも多い。中でも、第11話でジェインに向かってチャン・ミョンエ(シム・ソヨン)が選択をする時に基準にしていることとして、語った言葉が印象的だ。「死ぬ時に、この選択を後悔するか、しないか」と。人生を生きていくうえで“選択”は避けられない。私たちは今日何を食べるかというようなことから、人生を揺るがせるような岐路に立ち、大きな選択に立ち向かうときもある。そんなときに、「この選択は死ぬ時に後悔するかしないか」と思いながら生きることはお守りになるのではないだろうか。そんな風に人によってお守りのような言葉を見つけ出せる本作は、楽しく軽やかながらも、優しく心が温まる人間物語を描いた作品だ。
■配信情報
『エージェントなお仕事』(全12話)
Netflixにて配信中
出演:イ・ソジン、クァク・ソニョン、ソ・ヒョヌ、チュ・ヒョンヨン
演出:パク・マンヨン
脚本:キム・インヨン、イ・チャン
(写真はtvN公式サイトより)