西島秀俊、城島茂、村上信五ら『はぐれ刑事』出身俳優が藤田まことから受け継ぐバトン

西島秀俊ら『はぐれ刑事』出身俳優を振り返る

 西島秀俊が主演を務める連続ドラマ『警視庁アウトサイダー』が、2023年1月5日よりテレビ朝日の木曜ドラマ枠で放送される。

 西島は、1992年に半年間にわたって故・藤田まことさん主演ドラマ『はぐれ刑事純情派』(テレビ朝日系)にレギュラー出演した過去があり、今回30年ぶりにテレ朝連ドラの刑事役を演じることが話題に。『はぐれ刑事』には、城島茂や村上信五など、意外と知られていないレギュラー出演者が多い。そんな『はぐれ刑事』ファミリーをまとめてみたい。

 1988年から2009年まで約20年間続いた『はぐれ刑事純情派』シリーズは、東映『必殺』シリーズなど時代劇俳優の重鎮だった藤田さんを主役に添え、派手な銃撃戦やトレンディドラマが全盛期だった当時、犯罪に苦しむ人たちに寄り添う人情路線にしたことで高齢層が楽しめる人気作品になった。スペシャルを含め全444話制作され、以降は『さすらい刑事旅情編』(テレビ朝日系)、『はみだし刑事情熱系』(テレビ朝日系)、そして『相棒』(テレビ朝日系)へと繋がっていく。

 藤田さん演じる山手中央警察署刑事課の名物刑事・安浦吉之助、安浦の捜査活動を陰で支え続ける田崎巡査(岡本麗)、田崎の後継者の刑事・森村(七瀬なつみ)、里見刑事(ぼんちおさむ)、横溝署長(梅宮辰夫)、安浦の娘・エリ(松岡由美)とユカ(小川範子)、そしてバー「さくら」のママ・由美(眞野あずさ)が主なレギュラーメンバーで、第14~15シリーズに鑑識課主任として出演した加藤茶も印象深い。

 そして、入れ替わりが多いのが若手(新人)刑事枠。木村一八から始まり、1989年の第2シリーズに出演したのは、デビュー直後の吉田栄作。トレンディ俳優と言われる直前だが既に人気があり、89年の劇場版のポスターや、シリーズで唯一DVD化されたパッケージには『相棒』のように藤田とのツーショットになっていたほど。第3~4シリーズには、オーディションで選ばれた深江卓次が出演。『3年B組金八先生』(TBS系)の第5シリーズから登場したバイクに乗る小田切先生と言えば分かりやすいだろうか。

 そして第5シリーズに登場したのが西島だ。大学在学中の1992年に本格的な俳優デビューとなった今作。当時吉田と同じ渡辺プロに所属し、そのラインでの抜擢だと思われる。演じる中上刑事は、草食系のお坊ちゃんのような出立で、陽気で正義感が強い初々しい若手刑事。出演は1シリーズのみで、以降、西島が最初のブレイクを果たした1993年の『悪魔のKISS』(フジテレビ系)や『あすなろ白書』(フジテレビ系)での影のある役とは別人なので、西島ファンも記憶がない人が多いと思われる。

 ただ、西島にとって藤田さんは仕事の楽しさも厳しさも教えてもらった俳優としての師の一人。西島が主演した2018年の映画『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』のイベントで「先輩からの名言」について「藤田まことさんが番組終わりに、色紙に『本業をゆっくりと』とサインをくださった。その言葉はいつもどこか頭の中に残っていて、本業を一歩一歩ゆっくりやっていこうと思っています」と答えていた。実際に自分が演じたい役者の道へと、ゆっくりとキャリアを重ねる俳優人生を歩んできた原点となっているようだ。

 そして、第6~7シリーズの清水貴博は渡辺プロのライン。そして、第8~11シリーズ(1995年~1998年)、1999年のSP、2003年の第16シリーズ第1話に出演し、山岡刑事役として4年間レギュラーとして活躍したのがTOKIOの城島茂だ。それ以前にも『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)や浜木綿子主演のおふくろシリーズ『おふくろに花束を!』(フジテレビ系)という、ご年配に人気のあるシリーズでの俳優経験はあるが、『はぐれ刑事』は1994年にTOKIOとしてデビューしてからの初レギュラードラマで、若手刑事としては一番長くシリーズに登場した。

 長年『はぐれ刑事』が愛された理由は人情路線もそうだが、父子家庭の娘たちの成長を見届けるホームドラマ要素があることが挙げられる。特に安浦の次女ユカは、血の繋がりはないが、思春期の難しい中学生時代から警察官になるまで、視聴者は『渡る世間は鬼ばかり』を観るように成長を親戚感覚で見届けていく。そんなユカの彼氏となるのが山岡で、将来を誓い合う仲となっていく重要なポジションだ。1999年のSPで八丈島に係長として栄転。第16シリーズ第1話で東京でユカにプロポーズに行く途中に捜査を妨害する2人組みに刺され殉職し、ユカが警察を目指すきっかけとなる。

 城島が25歳から29歳にかけて演じていただけに若々しく、それが作品の持つ人情と実直な雰囲気にハマっていたように思う。また、城島が今作で活躍したことで、後のドラマ『特捜9』(テレビ朝日系)や『刑事7人』(テレビ朝日系)など、東映×テレ朝刑事ものドラマ枠でジャニーズが常連となっていく。

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