サンタ大暴れアクションが北米No.2 『ブラックパンサー』続編が2022年初の4週連続首位
2022年の感謝祭も終わり、北米の映画興行はホリデーシーズンまっただなか。年内最後のブーストを控えて、今週末はいうなれば「充電」の数日間といえる。市場全体の興行収入は約5630万ドル(推定)と、今年8番目に低い数字となった。
大規模公開となった新作は、『ストレンジャー・シングス 未知の世界』(2016年~)のデヴィッド・ハーバーが主演を務めたクリスマス・バイオレンスアクション『バイオレント・ナイト』のみ。3682館で公開され、3日間で1330万ドルを稼ぎ出して第2位にランクインした。事前には1000万ドルと推定されていたため、やや予想を上回っての初登場である。
本作は、ハーバー演じるサンタクロースが、武装集団が豪邸に押し入り、3億ドルを強奪する現場に居合わせてしまう物語。製作は『ブレット・トレイン』(2022年)、『Mr.ノーバディ』(2021年)の87 North Productionsで、プロデューサーには映画監督デヴィッド・リーチらが名を連ねた。『Mr.ノーバディ』と同じく、“ナメてたおじさんがめちゃくちゃ強かった”映画である。Rotten Tomatoesでは批評家スコア71%、観客スコア89%を記録するなど、観客から熱い支持を得た。
ややシーズンを外してしまうものの、『バイオレント・ナイト』は2023年2月3日に日本公開が決定している。ジョン・レグイザモ、アレックス・ハッセル、アレクシス・ラウダーら共演者の演技にも注目しよう。
ランキングの第1位は、引き続き『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』。やはり前作『ブラックパンサー』(2018年)の数字には及びそうにないものの、北米興収3億9372万ドル、海外興収3億3930万ドルで、世界累計興収は7億3302万ドルとなった。北米週末ランキングで4週連続の首位に輝いたのは『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021年)以来。すなわち2022年の公開作品としては本作が初めてである。
全体を概観すると、感謝祭が終わったことを受けて、どの作品も前週からの下落率が比較的大きめに出ている。アニャ・テイラー=ジョイ&レイフ・ファインズ主演の『ザ・メニュー』は-35.1%にとどまり、前週の5位から4位にランクアップしたが、順位を上げられたのはこの1作のみだ。第6位に初登場した『I Heard the Bells(原題)』は、有名な詩「クリスマスの日、私は鐘の音を聞いた」で知られる詩人ヘンリー・ワズワース・ロングフェローの伝記映画。955館の限定公開ながら、観客の支持も大きい1作だ。
なお、賞レースでの健闘が期待されるスティーヴン・スピルバーグ最新作『フェイブルマンズ』は2023年3月3日に、ティモシー・シャラメ主演&ルカ・グァダニーノ監督『ボーンズ アンド オール』は2月17日に日本公開が決定している。北米ではどちらも順位をひとつずつ落としたが、ただでさえ大人向けの中規模作品がヒットしづらい現状では善戦と言うほかない。あとはアカデミー賞やゴールデングローブ賞など、興行に影響を及ぼす有名賞での結果に左右される部分が大きいだろう。