『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』北米No.1の好発進 MCUで久々の“A”評価

『ブラックパンサー』北米No.1の好発進

 ブラックパンサー、満を持して再臨。11月11日~13日の北米週末興行収入ランキングは、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の最新作『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』が予想通り首位を獲得した。3日間の成績は1億8000万ドルで、11月公開作品としては『ハンガー・ゲーム2』(2013年)を抜き史上最高の初動記録となっている。

 前作『ブラックパンサー』(2018年)は、主要キャストをほぼ黒人俳優で揃えた史上初のハリウッド大作映画で、北米興収7億ドル、世界累計興収13億4691万ドルという歴史的ヒットを記録。しかし、主人公のティ・チャラを演じたチャドウィック・ボーズマンは、2020年8月に病のため逝去。本作『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』は、MCU史上初となる主役不在の続編映画、スーパーヒーロー不在のスーパーヒーロー映画となった。監督・脚本は前作を手がけたライアン・クーグラーが務めている。

 2022年の公開作品としては、本作は同じくMCU映画である『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の1億8742万ドルに続いて第2位のスタート。コロナ禍の作品としては、これまたMCU映画の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021年)がその上を行く2億6013万ドルを稼ぎ出しているため、第3位の記録となった。

 当初、本作のオープニング興収は1億7500万ドル程度と見られていたため、結果の数字は予想をやや上回ったことになる。前作『ブラックパンサー』の初動成績(2億200万ドル)にこそ及ばなかったが、今回も北米における歴代第13位を記録しているほか、MCU作品としても歴代第8位という上々の滑り出しだ。

 興行面のみならず、本作は高い評価を得ており、Rotten Tomatoesでは批評家スコア84%・観客スコア95%を記録。観客の出口調査に基づくCinemaScoreでは「A」評価を獲得した。『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』『ソー:ラブ&サンダー』の評価はこれほどの水準に達しなかったため、MCUの映画作品としては久々の快挙となる。

 2時間41分という上映時間は、ライトファン層や一般の観客層にとっては高めのハードルだが、この映画の場合はこうした好評ぶりに基づく口コミ&リピーター効果も見込めそうだ。同じく出口調査によると、観客の85%が「強く薦める」と回答。さらに全体の38%が「もう一度劇場で観たい」と答えた。事前にチケットを購入した観客が44%だったのに対し、鑑賞前日~当日にチケットを購入した観客が56%という調査結果も、思い立って映画館を訪れた層が半分以上いることを示している。

 こうした傾向を踏まえ、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の北米最終興収は、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の4億1133万ドルを超え、5億ドルを突破することもありうると予測されている。もっともスーパーヒーロー映画の場合、2週目で大きな急落が起こるのもジンクスのひとつ。すべては次の週末にかかっている、と言えるかもしれない。

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