松本若菜、15年の役者人生に花が咲く 根気と“愛され力”で掴み取った大ブレイク

松本若菜、“愛され力”で掴んだ大ブレイク

 “遅咲きの役者”として、松本若菜が今年大ブレイクを果たしている。

 松本は2007年の特撮ドラマ『仮面ライダー電王』(テレビ朝日系)で、佐藤健演じる主人公の姉役でデビュー。2017年公開の映画『愚行録』では第39回ヨコハマ映画祭助演女優賞を受賞した。以降も映画『his』やドラマ『コウノドリ2』(TBS系)、『チア☆ダン』(TBS系)、『映像研には手を出すな!』(MBS/TBS)などの人気作に多く出演。しかしなかなか存在感を発揮し切れない日々が続き、ようやくお茶の間にまでその名を轟かせることができたのは今年の春ドラマ『やんごとなき一族』(フジテレビ系)で演じた憎まれ役だった。

『やんごとなき一族』での昼ドラ的怪演が話題 顔芸から替え歌まで披露する松本若菜に夢中

土屋太鳳演じる庶民のヒロインが上流階級の良家に嫁ぎ、改革を起こしていく『やんごとなき一族』(フジテレビ系)も最終回が迫ってきた。…

 同作では昼ドラの悪役を彷彿とさせる“憎まれ役なのに憎み切れない独特なコミカルさ”で、主人公を徹底的にいじめ抜いている。そのアドリブ混じりのインパクトあるセリフ回しと存在感が、視聴者から「松本劇場」として愛され、ブレイクに繋がった。さらに同役でザテレビジョンドラマアカデミー賞最優秀助演女優賞と東京ドラマアウォード助演女優賞を受賞。15年という役者生活の中でようやく視聴者からも熱い支持を集め、11月27日に放送された『情熱大陸』(MBS・TBS系)では、12年間ともに歩んだマネージャーと涙しながら受賞を喜ぶ姿も映し出された。

 『やんごとなき一族』で共演した土屋太鳳は、番組内で「こんなに面白い人がいるんだ」と感じつつ、「シリアスが分かっているから笑いが分かる感じがある」と松本の演技について語った。5年前まで役者業とアルバイトを掛け持ちする生活が続き、松本は「東京へ来てまで自分はなにをしているのか」と悩んだこともあったと番組で打ち明けている。しかし細かな演出を監督と相談しつつリテイクを重ねる姿からは、ブレイクしたのは偶然ではなく15年という役者生活の中で役に向き合い、実直な姿勢で演じることを続けて来た先にある必然的なものだったのだと感じさせた。

ファーストペンギン!

 幅広い役柄を演じ分け感情の抜き差しを巧みに行う松本の演技は、この15年決して折れることなくどんな仕事も引き受け続けて来た経験があるからに他ならない。今年だけで映画、ドラマを合わせ15本以上の作品に出演、『復讐の未亡人』(テレビ東京系)で初の連続ドラマ主演も務めているが、演じる役柄は刑事や母親、詐欺師や復讐に燃える妖艶な未亡人など、どれも異なるキャラクターだ。現在放送されているドラマ『ファーストペンギン!』(日本テレビ系)では主人公同様、男社会である漁業に変革をもたらそうと孤軍奮闘するクールな農林水産省職員の溝口静を演じている。溝口は落ち着いた声音で淡々と話をするポーカーフェイスの女性であり、『やんごとなき一族』で演じた美保子とは真逆のキャラクターだ。感情が顔に出るタイプではない溝口だが、松本が演じるからこそ凛とした佇まいで芯の強い魅力的なキャラクターとして物語に欠かせない存在感を放っている。

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