『サムバディ』は全く共感できないドラマ? カン・へリムの怪演に身震いが止まらない

『サムバディ』は全く共感できないドラマ

キム・ヨングァンが演じるサイコパス・ユノの悲劇

 ソムとギウンを翻弄する男性、ユノ。背が高くイケメン、一見するとジェントルな雰囲気を漂わせている建築デザイナーだ。スポーツジムで耳にしたマッチングアプリ「サムバディ」に登録すると、そのルックスから多くの女性からアプローチをされる。

 その中から選んだ女性とホテルで会いベッドインするのだが、異常な性癖のある相手の女性から「首を絞めて」と請われ、言われるがまま首を絞めたことにより女性を殺してしまう。ここからユノの暴走が始まった。

 ユノを演じるキム・ヨングァンのサイコパスぶりが恐ろしい。いわゆる“キレる”沸点が低すぎるのだ。出会った女性のちょっとした言動が気に入らないと勢いで殺害する。中でも笑いながら女性の首を絞め、バスタブに沈めていくシーンは、夢に出てくるのではないかと思うぐらい強烈だ。

 なぜユノがサイコパスになってしまったのか。背中に大きな傷跡があること、回想シーンで母親と思しき人物が出てきたことから、母親との間に何かあったのか……と想像するのだが、結論は導かれなかった。

 そんなユノが、「サムバディ」を通じて知り合ったソムとギウン。2人の女性と男女の関係になったために奇妙な三角関係が生まれるのだが、ユノがシンパシーを感じたのはソムで、逆にギウンに対しては苛立ちを覚え、殺しはしなかったもののひどい目に合わせる。

 やりたい放題のユノだったが、ソムに対して愛情を感じ始めたことによって、少しだけ人間味のあるところが垣間見えたような気がした。ソム自身も「ユノを逃したら二度と私を理解してくれる人は現れない」と思っていたため、2人で力を合わせるのかと思いきや、最終的にソムはカミソリでユノを殺してしまうのだ。

 その衝撃的なシーンは強烈で、心臓がバクバクしてしまう人も多いだろう。「ユノを許さない。なんとしてでも捕まえる」と言うギウンからユノを守ろうとしていたソムが、突然どうしてそのような行動を取ったのか、見る人によって解釈は違うだろう。

 殺してしまうことで、殺人を繰り返すユノを苦しみから解放したのか、それとも単にサイコパスなユノに嫌気がさしたのか……。

 しかしいずれにしても、ユノを殺した後に何もなかったかのようにゲームに興じるソムの姿が強烈だった。ゲームをしながら次第に笑顔になっていくソムの顔が、この作品で一番サイコパスを感じたところだった。

■配信情報
『サムバディ』
Netflixにて独占配信中
出演:キム・ヨングァン、カン・ヘリム、キム・ユンジ
原作・制作:チョン・ジウ、ハン・ジワン

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