山田涼介の狂気とかわいさが共存 『親愛なる僕へ殺意をこめて』で堪能するその演技力
そしてB一になると、目が据わり、冷静さゆえの危うさを感じさせるキリッとした容姿に変わり、纏う空気感が全く違う。今までの山田の演技で見たことのない、狂気じみた笑顔の薄気味悪さは見事だ。意図的なのか分からないが、実の親を演じる早乙女太一の顔にどこか似ているような、八野衣真の息子としての面影を十分に感じる。
陰と陽の二重人格の演技は、一見教科書通りと言えなくもない。しかし、山田の演技でとても感心するのが、警察から逃れるため、B一がエイジのフリをする場面だ。単純にエイジの演技をするのではなく、B一の表情や面影を残したままエイジを演じる演技をすることで、視聴者にはその“嘘”が伝わるように見せている。これは、2つの人格になり切らなければできない業だ。
さらに、現時点で最もサイコパスなキャラクターを怪演してみせる門脇麦や、タトゥーだらけの超サディストを演じる尾上松也をはじめ、共演者がとにかく曲者だらけなのが山田の演技を引き立てている。思えば、映画『暗殺教室』『鋼の錬金術師』などの実写化シリーズ作品でも、しっかりキャラクターになりきり、『大怪獣のあとしまつ』のようなトンデモ作品の中でも、山田はストイックに自分を貫いた演技をしっかり見せることで映画を成り立たせていたが、本作でも同じことが言えるのかも知れない。
さて本作は、真犯人のLLが八野衣真と別にいること、警察関係者が深く関わっていることが分かり、そろそろ真相が解明されそうだ。それをどちらの人格が目の当たりにし、どんなリアクションを見せるのか。人格が逆転しそうな傾向もあり、エイジに殺意が芽生えるのか、B一が悲しみの表情を見せるのか、山田がどんな演技を導き出すのか今から楽しみだ。
■放送情報
『親愛なる僕へ殺意をこめて』
フジテレビ系にて、毎週水曜22:00~22:54放送
出演:山田涼介、川栄李奈、門脇麦、尾上松也、早乙女太一、髙嶋政宏、桜井ユキ、佐野史郎、遠藤憲一ほか
原作:『親愛なる僕へ殺意をこめて』原作:井龍一、漫画:伊藤翔太(講談社ヤングマガジン刊)
脚本:岡田道尚
総合演出:松山博昭
プロデュース:草ヶ谷大輔
音楽:☆Taku Takahashi(m-flo)
主題歌:Hey! Say! JUMP「ウラオモテ」
制作著作:フジテレビジョン
©フジテレビ
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