清原果耶、『城塚翡翠』で見せた“4つの顔” 往年のヒロイン像は新番組で“反転”する

清原果耶、『城塚翡翠』で見せた“4つの顔”

 清原果耶がまた代表作を更新した。彼女が日曜ドラマ『霊媒探偵・城塚翡翠』(日本テレビ系)で披露したのは、もはや芝居ではない。“奇術”だ。

 この作品で少なくとも清原は“4つの顔”を見せ、私たちをミステリーの世界に誘った。1つ目は、霊媒師・城塚翡翠としての顔。第1話にて赤色のドレス姿で登場した彼女は息を呑むほどに美しく、その一挙一動に神秘の香りが漂っていた。人間的な温かみは全く感じられず、まるでフランス人形のよう。この時点で「これまでの清原果耶とは一味違う」と心奪われた人も多いのではないだろうか。

 しかし、そのイメージはすぐに覆される。序盤で見せた顔は、あくまでもアシスタントの真(小芝風花)が考えた演出。推理作家・香月史郎(瀬戸康史)と行動を共にしながら、翡翠は霊媒師としての鎧を徐々に剥いでいく。見た目や生活の華やかさとは裏腹に、特殊な霊能力のせいで人を遠ざけてしまい、ずっと“籠の中の鳥”状態だったお嬢様。香月との出会いにより広がっていく世界を嬉々として受け入れるさまは愛くるしくもあり、その無防備さに気を揉まされる。ゆえに香月の庇護欲を駆り立てるという、“いかにも”な往年のヒロイン像を清原は体現した。

 そして、3つ目は“被害者”の顔。翡翠は、第1話で親友に私的な怨恨により殺された倉持結花(田辺桃子)、第3話では学校での連続猟奇殺人に巻き込まれた藤間菜月(當真あみ)の霊を降ろし、自らに憑依させる。つまりその瞬間、清原は翡翠ではなく、結花や菜月になり切らなければならない。容姿も声も翡翠のまま。それにもかかわらず、翡翠の姿に結花や菜月の姿が重なった。もはや説明不可能な清原の巧みな演技力にただただ唖然とさせられる。

 だが、それ以上に彼女は高度な芝居に挑戦していたことが最終話で明らかに。翡翠は最初から霊能力なんてものは持っていない。連続殺人犯“透明な悪魔”の正体が香月であることを見抜いていた翡翠は、彼に尻尾を出させるべく立ち回っていたのだ。

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