清原果耶、『城塚翡翠』で見せた“4つの顔” 往年のヒロイン像は新番組で“反転”する

清原果耶、『城塚翡翠』で見せた“4つの顔”

 つまり、前述した1〜3の顔はすべて嘘だったわけである。本物の霊媒師でもなければ、香月の潜在欲求を満たしてくれるヒロインでもない。降霊もただの演技。すべての仮面を脱ぎ、今度は霊媒探偵・城塚翡翠として我々の前に現れる(今思えば、タイトル自体が伏線だったのだ)。これまで霊能力なしにどう事件の真相にたどり着いたのかを、香月に種明かしするシーンは圧巻の一言。究極の説明台詞でありながら、ユーモアを交えつつ、高慢でサディスティックな翡翠の本性をさらけ出した。原作未読の人は、いや、もしかしたら原作を読んでいる人ですら、狐につままれたような気分になったのではないか。

 ただ、この4つ目の顔が翡翠の“本当”とは限らない。逆にいえば、1〜3の“嘘”の顔にも彼女の“本当”は隠されていたかもしれず、すべては香月の「君はどこまでが芝居なのか全然わからない」という台詞に集約される。水鏡荘での事件で新谷(筧美和子)と友人になれたときの嬉しそうな表情、菜月を救えなかったことによる後悔の涙、そして香月に向ける熱を帯びた視線。そのどれもが嘘だったと思いたくないのは、鐘場(及川光博)が言うように、私たちが「信じたいものを信じちまう生き物」だからかもしれない。

 清原の“奇術”としか言いようのない名演は、次週から始まる新番組『invert 城塚翡翠 倒叙集』に引き継がれる。『霊媒探偵・城塚翡翠』はこのドラマの序章だったとも言えよう。城塚翡翠は結局どんなヒロインなのか、その答えに私たちはたどり着くことができるのだろうか。

■放送情報
『invert 城塚翡翠 倒叙集』
日本テレビ系にて、11月20日(日)スタート 毎週日曜22:30〜放送
出演:清原果耶、小芝風花、田中道子、須賀健太、及川光博
原作:相沢沙呼『invert 城塚翡翠倒叙集』『invert II 覗き窓の死角』(講談社)
脚本:佐藤友治
脚本協力:相沢沙呼
演出:南雲聖一、菅原伸太郎、伊藤彰記
チーフプロデューサー:田中宏史、石尾純
統轄プロデューサー:荻野哲弘
プロデューサー:古林茉莉、柳内久仁子(AX-ON)
協力プロデューサー:藤村直人
音楽:Justin Frieden
主題歌:「妖」福山雅治(アミューズ/ユニバーサルJ)
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ

■配信情報
『霊媒探偵・城塚翡翠』
Huluにて配信中
出演:清原果耶、瀬戸康史、小芝風花、及川光博、田中道子
原作:相沢沙呼『medium 霊媒探偵城塚翡翠』(講談社文庫)
脚本:佐藤友治
脚本協力:相沢沙呼
音楽:Justin Frieden
チーフプロデューサー:田中宏史、石尾純
統轄プロデューサー:荻野哲弘
プロデューサー:古林茉莉、柳内久仁子(AX-ON)
協力プロデューサー:藤村直人
演出:菅原伸太郎、南雲聖一ほか
制作協力:AX-ON
©︎日本テレビ

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