岩永洋昭×行成とあが語り合う『ベルセルク』からの10年 新規カットに込めた思いとは?

岩永洋昭×行成とあ『ベルセルク』を語る

 故・三浦建太郎原作の傑作ダーク・ファンタジーマンガ『ベルセルク』をアニメ化した『ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITION』が10月1日より放送中だ。

 『ベルセルク』は1989年から連載が始まり、その重厚な物語と複雑な葛藤を抱えたキャラクターが織りなすドラマ、緻密な作画で世界中にファンを持ち、全世界の累計発行部数は5000万部を超える作品だ。

 放送されているのは、ファンの間でも人気の高いエピソード「黄金時代篇」で、2012年から2013年にかけて映画3部作として、STUDIO4°Cによって映画化された。その映画3部作を、既存カットに手を加え、新規カットも追加した「メモリアルエディション版」として、テレビ放送用に再構成したものとなる。

 今回、リアルサウンド映画部では、本作の主人公ガッツを演じた岩永洋昭とヒロインのキャスカを演じた行成とあにインタビューを実施。当時のアフレコの思い出や三浦建太郎氏への想い、本作の魅力などについて語ってもらった。(杉本穂高)

『ベルセルク』は特別な思い入れがある作品

――約10年前の劇場アニメである本作がテレビで放送されると聞き、どう感じましたか?

岩永洋昭(以下、岩永):声優として初めて出演させていただいた作品で、特別な思い入れがある作品ですから嬉しかったです。この10年間、TVシリーズやゲームなど色々とやらせてもらいましたので、懐かしさやいろんな思いもこみ上げてきました。三浦先生の訃報もありましたから、色々な意味で感慨深いです。

行成とあ(以下、行成):私もキャスカ役に抜擢されたのが、声優を始めて2年目の時だったので、決まった時は喜びより驚きの方が強かったです。マネージャーから電話がかかってきて「行成さん、心して聞いてください。キャスカ役にきまりました」と言われた時は「うっそだー!」と思いました(笑)。元々、私の兄が『ベルセルク』を読んでいて、その影響で私も好きだったので、オーディションで「ガッツ」と喋っただけで嬉しくなったことを覚えています。当時は、今の自分の精一杯でやろうと思っていましたが、今考えるとできなかったこともあったと思うんです。でも今回、この10年で自分が築き上げてきたものを織り込めるチャンスをもらえたのは挑戦でもあり、ワクワクもしました。

――岩永さんもオーディションで選ばれたんですよね。当時のインタビューではすごく短い時間でオーディションが終わってしまったという話をされていました。

岩永:僕より前に受けている人たちのオーディション時間をなんとなく計りながら待っていて、それなりの時間やるんだなと思っていたんですけど、自分の番になったら2言、3言のセリフ言っただけで終わってしまったんです。これは絶対落ちたなと思っていたら、受かったと知らされてびっくりしましたね。

行成:少ない! でも当時も監督が仰っていましたね。「そこにガッツがいた」って。

岩永:オーディションの時、確か三浦先生もいらっしゃったんです。自分で言うのもなんですが、即決に近かったと聞きました。

行成:キャスカ役はなかなか決まらなかったそうで、私も最初はオーディション受ける予定はなかったんです。ある日、事務所に行ったらマネージャーの机に『ベルセルク』の単行本が置いてあったので、軽いノリで「これやるんですか? 受けさせてくださいよ〜」なんて言ってたら、テープを送ることになったんです。最初は強い女性を求めているということだったので、喧嘩売るぐらいのニュアンスでやりました。そうしたら、今度はかわいらしい感じのセリフを送ってほしいと言われて、再度テープを送ったところキャスカ役に決めて頂いたんです。あの時、机の単行本を見つけて本当に良かったです(笑)。

――10年前のアフレコで覚えていることはありますか?

岩永:当時、僕は『仮面ライダーオーズ/OOO』(テレビ朝日系)でのアフレコ経験しかなくて、ほぼ初めてのことばかりでしたからとにかく大変でしたし、体力的にもきつかったです。特に「蝕」のシーンは本当にきつかったですね。

行成:みんなで録るためのマイクワークも初めてだったんですよね? 一個すごくよく覚えていることがあって……。初めて一緒に収録した時、確かグリフィス役の櫻井孝宏さんもいたんですよね。

岩永:取材日でしたね。

行成:インタビューを受けるために3人が集まったんですが、岩永さんも櫻井さんも私もほとんど初対面状態な上に、3人とも人見知りだったのであまり話せなかったんですよね(笑)。でもその後の収録で岩永さんと戦場シーンで一緒にヘロヘロになるまでたくさん吠えまくって……。収録が終わった後に「がんばろうな」と言ってもらえて、仲良くなれそうだって思ったことを覚えています。

――10年前の収録では、お2人は一緒にアフレコすることが多かったんですか?

行成:ほとんど一緒でしたね。キャスカとガッツは一緒にいることが多いし、岩永さんがマイクワークなどの経験がないこともあって、一緒に録れたほうがすぐに慣れるだろう、ということもあったみたいで。

岩永:そんなこともわからない僕をよく起用してくれたなと改めて思いますね(苦笑)。

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