“音”で楽しむ映画祭 ライブ音響上映が引き出す『トップガン マーヴェリック』の魅力
訓練中のドッグファイトも格段にスリルが増す。訓練兵たちの間をすり抜けるマーヴェリックの機体が生み出す衝撃音で、劇場全体が振動する。パイロットたちの感じる怖さや操縦中に感じる重力の一端が音によって想像しやすくなっているし、最後のミッションでのドッグファイトシーンもミサイルやフレア弾による爆発音が生み出す空気振動によって4D上映でもないのに床の振動が椅子にも伝わるので、その場で戦闘に参加させられたかのようなリアルな体験を提供してくれるのだ。
もちろん、恐怖やスリルだけを向上させているのではない。ライブ音響の臨場感は、本作のドラマも大いに盛り上げてくれる。敵地に潜入したマーヴェリックとルースターがF14に乗り込むシーン。古びた戦闘機にエンジンを点火する瞬間の爆音を全身に浴びると、その点火音は、絶望的な状況で敵地に置き去りにされた2人にとって「希望の灯」だったことがよくわかる。
このように音が違うだけで、ドラマへの没入感も飛躍的に高まり、映画鑑賞の体験の質も大きく変わる。IMAXなどプレミアムな映像も貴重だが、音にこだわる上映形態もそれらに勝るとも劣らないものなのだ。
ライブ音響上映で輝くのは効果音だけでは、もちろんない。本作を彩る数々の名曲にも新たな息吹を与えてくれる。
前述した「Danger Zone」の感動も倍増するが、前作とのつながりで言えば、ルースターがバーで演奏する「Great Balls of Fire」も臨場感溢れる音響によってシーンの感情が大きく増加する。
まるで、作中のバーで一緒に演奏を聞いているような感覚をもたらしてくれるのだが、これもやはり、ドラマにより深く没入できる仕掛けとして機能する。この曲は、前作でルースターの父グースがレストランで披露したものだ。その時、一緒に盛り上がった輪の中にはマーヴェリックもいた。しかし、今作ではその輪の中にマーヴェリックは入れない。臨場感を持って聞こえてくるからこそ、輪に加わることができないマーヴェリックの感情もまたより深く伝わってくるのだ。
ビーチでアメフトに興じるシーンの「I Ain't Worried」や、エンディングを飾るレディー・ガガの「Hold My Hand」の響き方も高音質の音響ならではの感動があるし、それら音楽の効果が高まることによって、あらゆるシーンがきらめきを増す。
映画は、映像と音のコラボレーションによる表現だ。ライブ音響上映はそのことを改めて強く印象付けてくれる。文字通り、映画の世界をまさに生(ライブ)で体験させてくれる、これまでにはなかった、新しい形の上映イベントなのだ。
■イベント情報
「“音で”楽しむ!新宿ピカデリー映画祭<ライブ音響上映>」
11月3日(木)~10日(木) ※8日間限定
会場:新宿ピカデリー
●上映作品
『トップガン マーヴェリック』
『トップガン』×『トップガン マーヴェリック』連続上映
『グレイテスト・ショーマン』
『モータルコンバット』
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
『RRR』
『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』
『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEスターリッシュツアーズ』
マクロス40周年記念『マクロスプラス MOVIE EDITION』
マクロス40周年記念『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』『劇場短編マクロスF ~時の迷宮~』(同時上映)
『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』
『犬王』(歌詞字幕付)”無発声“狂騒”応援上映
『アイの歌声を聴かせて』
『キンキーブーツ』ほか16本
●料金
2,300円(税込)~
※作品によって料金は異なる
●チケット
◎新宿ピカデリー WEB販売 発売中 販売サイト:https://www.smt-cinema.com/site/shinjuku/index.html
◎新宿ピカデリー 劇場窓口販売 発売中
※但し各回、 残席がある場合に限る
公式サイト:https://www.smt-cinema.com/campaign/liveonkyo_shinjuku_202211/
2023年1月イオンシネマ松本(長野)、MOVIX昭島(東京)、2月なんばパークスシネマ(大阪)にて、“音”で楽しむ映画祭開催。
開催期間・上映作品・上映時間など、詳細については決定次第、各劇場公式サイトにて随時発表。