『霊媒探偵・城塚翡翠』に感じた“本気度” 清原果耶、瀬戸康史らが魂のぶつかり合い

『霊媒探偵・城塚翡翠』清原果耶の二面性

 さて、ここからは第1話の展開を振り返っていきたいと思う。描かれたエピソードは、原作にも登場する“泣き女の殺人”。結花(田辺桃子)の死の真相をつかむために、“降霊”をした時の翡翠の表情たるや。死の直前の苦しみや恐怖を降臨させているため、翡翠は錯乱状態に陥ってしまう。それを支えようと必死にもがく香月。なんだか、この“降霊”のシーンは、ラブシーンを観ているかのような錯覚に陥る瞬間があった。それくらい、清原と瀬戸の魂のぶつかり合いを感じる場面なのだ。

 翡翠のおかげで、犯人は結花の親友・舞衣(福地桃子)であることが判明。7月クール放送のドラマ『消しゴムをくれた女子を好きになった。』(日本テレビ)で、天真爛漫な王道ヒロイン・さとみを演じていた福地桃子が、まさかのひねくれ女子に。何もかも持っている親友が羨ましくて、憎らしい。そんな鬱憤を抱えてきた舞衣は、好きな人のことを「気持ち悪い」と言われただけで、堪忍袋の尾がぷつりと切れてしまった。

 ただ、彼女も殺すつもりはなかった。掴み合いの喧嘩になり、結花がたまたま机の角に頭をぶつけてしまう。つまり、最初は事件ではなく事故だったのだ。すぐに、救急車を呼べば助かったかもしれない。

 でも、舞衣はそのまま結花を見捨ててしまった。「この子がいなければ、そしたらあなたは自由になれる」。誰かに、そう言われた気がしたから。第1話に、女同士の友情のもつれが描かれているのは、なんだか深い気がする。結花と舞衣の関係は、大きくこじれてしまったが、翡翠と真の友情は、最後まで綺麗なままで終わってほしい……。

 ちなみに、相沢沙呼氏による原作小説『mediun 霊媒探偵城塚翡翠』(講談社文庫)は、“泣き女の殺人”を含めて全部で4話しかないため、このままいくとドラマオリジナルの展開も待ち受けているのだろうか。それとも、『invert 城塚翡翠倒叙集』や、『invert II 覗き窓の死角』などのエピソードが映像化される可能性も? 

 ミステリー賞5冠達成のベストセラーが原作なだけあり、第1話からぐいぐい引き込まれる魅力が満載だった『霊媒探偵・城塚翡翠』。毎週日曜日の夜は、ミステリアスな空間へ束の間の現実逃避を楽しみたいと思う。

■放送情報
『霊媒探偵・城塚翡翠』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜放送
出演:清原果耶、瀬戸康史、小芝風花、及川光博、田中道子
原作:相沢沙呼『medium 霊媒探偵城塚翡翠』(講談社文庫)
脚本:佐藤友治
脚本協力:相沢沙呼
音楽:Justin Frieden
チーフプロデューサー:田中宏史、石尾純
統轄プロデューサー:荻野哲弘
プロデューサー:古林茉莉、柳内久仁子(AX-ON)
協力プロデューサー:藤村直人
演出:菅原伸太郎、南雲聖一ほか
制作協力:AX-ON
©︎日本テレビ

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