映画化はテレビドラマにとってのゴール? 『Dr.コトー』『ネメシス』など劇場版が量産

映画化はテレビドラマにとってひとつのゴール

 放送終了後も熱心なファンの後押しで作品が盛り上がり、後に劇場映画が作られるというメディア展開は、『ケイゾク』(TBS系)、『木更津キャッツアイ』(TBS系)、『モテキ』(テレビ東京系)といった作品でも起こり、視聴率とは違う新たなテレビドラマの成功モデルとなった。今でもドラマの映画化が多いのは、『踊る大捜査線』の大ヒットが強烈な成功体験としてあるからだろう。

 その意味でも映画化は、テレビドラマにとって、ひとつのゴールだ。

 おそらく視聴者は、アイドルグループの卒業公演や人気バンドの解散コンサートのようなものとして、テレビドラマの映画化を捉えているのではないかと思う。

 生身の俳優が演じているため、テレビドラマが旬の時間はあまり長くはない。特に若手俳優が主演を務めている作品の場合は、数年たつと主人公が大人に成長してしまうため、新人からベテランへと社会的立場が大きく変わってしまう。それはキャスティングにおいても言えることだ。ドラマ撮影時は新人だった若手俳優が売れっ子になれば、スケジュールを押さえることすら難しくなっていく。だからこそ出演俳優は一番良いタイミングで物語から“卒業”することが求められる。

 そのことを一番理解していたのは『劇場版 コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』だ。本作は主演俳優の年齢にともなう成長や社会的立場の変化を踏まえた物語となっており、各登場人物の見せ場を用意した卒業アルバムのようなイベントムービーとなっていた。だからこそ本作は、興行収入93億の大ヒットとなった。

 ただ、面白いというだけではドラマの映画化は成立しない。連続ドラマの時代からいっしょに時間を共有してきた視聴者と作り手にとっての、特別な儀式でないといけないのだ。

■公開情報
『Dr.コトー診療所』
12月16日(金)全国公開
出演:吉岡秀隆、柴咲コウ、時任三郎、大塚寧々、髙橋海人(King & Prince)、生田絵梨花、蒼井優、神木隆之介、伊藤歩、堺雅人、大森南朋、泉谷しげる、筧利夫、小林薫
監督:中江功
脚本:吉田紀子
原作:山田貴敏『Dr.コトー診療所』(小学館)
主題歌:中島みゆき「銀の龍の背に乗って」(ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス/ヤマハミュージックコミュニケーションズ)
製作:フジテレビジョン
制作プロダクション:アットムービー
配給:東宝
©︎山田貴敏 ©︎2022 映画「Dr.コトー診療所」製作委員会 
公式サイト:coto-movie.jp
公式Twitter:https://twitter.com/coto_movie
公式Instagram:https://www.instagram.com/coto_movie/

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