『舞いあがれ!』にとって高畑淳子はどんな存在に? 朝ドラで祖母が果たす役割から紐解く
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』の第2話、第3話が10月5日に連続で放送され、物語の舞台は東大阪から五島列島へ。内気で、すぐに熱を出して小学校を休みがちな舞(浅田芭路)を連れて、母のめぐみ(永作博美)は実家のある故郷・五島列島に向かった。第3話は高畑淳子の演技が冴え渡り、まだお互いにぎこちないままでの母と祖母と舞との3人の暮らしが始まった。
舞はそこで祖母の祥子(高畑淳子)と初めて会う。足取りも重く、気まずい様子で「母ちゃん、お久しぶりです」とめぐみは頭を下げるが、祥子は「およ」と、素っ気なく言葉を発するのみ。「岩倉舞です。よろしくお願いします」と舞が挨拶しても、祥子は「およ」で返していた。
「およ」とは、五島の方言で「そうだ」「はい」という意味で、相手の言葉を受けて肯定するときに使える便利な一言。一瞬、ぶっきらぼうに見えるけれど、祥子はめぐみのことも、もちろん舞のことも最初から大きな愛で受け入れている。
第2話で仕事のこと、家族のことで切羽詰まった状態のめぐみが意を決して「悪かけど、しばらく娘と2人で、五島に帰ってもよかかな」と言葉を振り絞るように電話をかけたときも、「来たかったら、来ればよか」とだけ答えた祥子。駆け落ち同然で家を出たまま15年も会っていなかった娘とまだ一度も顔を見ていない孫。セリフに頼らなくても、電話を置いてからの動揺を隠しきれない仕草、表情からおおらかな愛情があふれている。
たとえば、母と娘の相性が悪く、すれ違いがあったとしても、祖母と孫の関係性がそれを引き継ぐとは限らない。
高畑は朝ドラ『なつぞら』(NHK総合)には、ヒロイン・なつ(広瀬すず)の幼なじみ・雪次郎(山田裕貴)の祖母・小畑とよ役で出演。菓子店「雪月」の女将として店を切り盛りし、息子・雪之助(安田顕)、雪之助の妻・妙子(仙道敦子)らと軽快なやり取りを繰り広げた。なつの良き相談相手にもなっていて、毒舌だけど、温かく、たくましい祖母を演じていた。