のん×門脇麦×大島優子でスピンオフ作品も映画化 今こそ観たい『スカイハイ』の魅力

 のん×門脇麦×大島優子が共演する映画『天間荘の三姉妹』が10月28日に公開される。原作は、髙橋ツトムの漫画『スカイハイ』のスピンオフ作品『天間荘の三姉妹 スカイハイ』。オリジナル作品『スカイハイ』は2003年1月にテレビ朝日でドラマ化され、主演・釈由美子の「おいきなさい」のセリフで有名となった。

 『スカイハイ』は、『週刊ヤングジャンプ』(集英社)などで連載された髙橋ツトムによる同名の人気漫画を原作としたミステリーホラーで、釈主演による連続ドラマは、2003年と2004年に2シリーズ作られ、その間に北村龍平監督による劇場版も制作された。不慮の事故や殺人によって命を落とした者が「怨みの門」に辿り着くと、門番のイズコ(釈由美子)から、死者の現世での記憶や残された者たちの様子を見せられ、“死を受け入れ、天国に旅立つ”、“死を受け入れずに、霊となって現世をさまよう”、“現世の人間を1人呪い殺して地獄へ行く”の3つの選択肢からいずれかの未来を選ぶ。ホラー要素を軸にしながら、単純な復讐劇ではない人間ドラマを基本1話完結で描く。中原俊、篠原哲雄、鶴田法男、北村龍平、金子修介といった様々なタイプの映画監督が参加していることも、物語を飽きさせなかった要因だろう。

 そしてやはり、イズコ役の釈由美子の賢者のような風格とミステリアスさがハマり、門番と死者との攻防はまさに演劇的な面白さがあった。第1シリーズの通しテーマは、なぜ自分が門番をしているのか。イズコが記憶を取り戻す物語であり、死者たちの選択を見て人間の複雑な感情を理解していくイズコは、どんどん人間臭くなっていく。そんなダークファンタジーと人間臭さのミックスが、この作品の特徴だった。

天間荘の三姉妹
『天間荘の三姉妹』©︎2022 高橋ツトム/集英社/天間荘製作委員会

 『天間荘の三姉妹』は、天空と地上とを繋ぐ天空の町・三ツ瀬の旅館「天間荘」が舞台。交通事故で臨死状態になった小川たまえ(のん)という少女が、イズコ(柴咲コウ)に連れられ天間荘にやってくる。旅館を切り盛りする若女将・天間のぞみ(大島優子)と、三ツ瀬でイルカのトレーナーをしている妹のかなえ(門脇麦)とは実は腹違いの妹で、現世では天涯孤独の身。イズコは「天間荘で魂の疲れを癒して、肉体に戻るか、そのまま天界へ旅立つのか決めたらいい」と言うも、ここで働かせてほしいと申し出る。家族の愛情や友情を知り成長していくたまえだったが、ある日三ツ瀬の町とそこに住む人びとのあまりに大きな秘密を告げられ、たまえは自らの決断を下すといった内容だ。

 今作では臨死状態ということもあり、怨みの門ではなく天空の町で、現世に戻るか、天国に向かうかの2択から決断する。『スカイハイ』でのイズコは、だんだんと人間の情が移り、少しの時間だけ現世に戻したり、自ら地上に降り伝言するなど、門番のルールを破って死者が悔いを残さぬよう動くことが多い。今回もそうした天涯孤独だったたまえを、最後家族に会わせたいという同情心なのか、なぜここに連れてきたのかが重要なポイントだ。

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