『ちむどんどん』良子役を好演した川口春奈 新ドラマ『silent』に向けて高まる期待

『ちむどんどん』良子の軌跡を総括

 最終回が近づいてきたNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』。沖縄はやんばるに住む四兄妹の人生を描いた作品として、それぞれの試練や成長の先にある「幸せになる」過程がここまで紡がれてきた。第22週「豚とニガナは海を越えて」や第23週「にんじんしりしりーは突然に」では兄・賢秀(竜星涼)の、第24週「ゆし豆腐のセレナーデ」では三女・歌子(上白石萌歌)の“幸せ”にフォーカスが当たっている。もちろん、これまでに主人公の暢子(黒島結菜)が幸せになるために仕事や恋愛、たくさんのことで悩んできた旅路も描かれてきた。物語の終盤にこのようなメインキャラクターの着地点を決める動きが進む中、一人安定しているように見えるのが、川口春奈演じる良子だ。

 良子も今でさえ安定し、幸せを模索する家族を支えたり、話を聞いてあげたりする役回りになっているが、少し前は離婚騒動で大変だったことが懐かしい。実は彼女はヒロイン・暢子よりも前にキャラクターアークが描かれた人物でもあるのだ。やんばる時代でも、博夫(山田裕貴)を巡った恋の三角関係であったり、自分のお金を自由に使うことへの罪悪感だったり、かなり初期の段階で感情が深堀されていた。子供の頃からしっかり者で、教師を目指していた良子。しかし、いざ教師になると借金地獄の家計を支える大黒柱として何かと辛い立場にならざるを得なかった。

 そんな彼女に訪れた転機が、製糖工場の御曹司・喜納金吾(渡辺大知)からのプロポーズ。この時、彼女は博夫に恋をしていたがハッキリとした意思を見せない彼に痺れを切らし、家族に安心した生活を送らせてあげたい気持ちからも裕福な金吾と結婚しようとした。しかし、土壇場で飛び込んできた博夫から告白され、初めて誰かのためではなく、自分のための選択をする。

 それから半年後、結婚した良子と博夫。それからすぐに長女・晴海も生まれ、めでたしめでたしと思いきや、良子の“幸せ”を掴む旅はここからが正念場だった。まずは結婚生活。博夫の実家である石川家は、事前に厳しい家柄だと話には聞いていたものの、蓋を開けてみればかなり男尊女卑思想が強く、育児も家事も女性がすることが当たり前とされていた。意志の弱い博夫は、そんな実家の声に押され、良子の味方をするにも頼りないばかり。そして、良子は産後、教員に復帰することを望むが石川家がそれを阻んだ。

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