『舞いあがれ！』福原遥を筆頭に、赤楚衛二、山下美月、目黒蓮ら期待の若手俳優が大集結

　NHKの連続テレビ小説が多くの若手俳優にとってブレイクのきっかけとなる登竜門になっていることは、もはや周知の事実であろう。それはヒロインを演じる若手俳優に限らず、その相手役や兄弟・姉妹役、友人役など、どんな些細な役柄にもチャンスがあるというのは“朝ドラ”というブランドの持つ絶対的な力だ。およそ半年にわたる放送終了後に誰が最大級の飛躍を見せるのかは、蓋を開けてみなければわからない。

　たとえば近年の作品を振り返ってみれば、『エール』では森七菜や古川琴音、宮沢氷魚（放送中の『ちむどんどん』では相手役へと昇格を遂げた）あたりが注目を集め、『おかえりモネ』では主演の清原果耶を筆頭に、永瀬廉や蒔田彩珠など伸び盛りの若手キャストの存在が物語の中心を担う。『ちむどんどん』では竜星涼が予期せぬかたちで注目され、前田公輝や井之脇海が人気を集める格好となっていたりと、とりわけ東京放送局の制作作品は若手俳優の飛躍に一役買ってきた。

　10月3日から放送される『舞いあがれ！』は、大阪放送局の制作作品。しかし先に挙げた作品に負けず劣らず、注目すべき若手俳優たちが揃っているではないか。まずその筆頭に挙げるべきは、ヒロインの岩倉舞役を演じる福原遥である。『クッキンアイドル アイ！マイ！まいん』（NHK Eテレ）からおよそ10年。いまなお“まいんちゃん”のイメージを保ち続ける福原は、俳優としても声優としても歌手としても八面六臂の活躍ぶり。ここにきて堂々朝ドラヒロインとしてNHKの主役を飾るとなれば、それはもう国民的女優の地位へとまっしぐらである。

　俳優業としての大きな転換点は、やはりブレイク途上の若手俳優たちが多数出演した2019年の『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』（日本テレビ系）であろう。それ以後も主演映画の『羊とオオカミの恋と殺人』があり、『ゆるキャン△』（テレビ東京系）があり、そしてなんといっても今年4月クールの『正直不動産』（NHK総合）がある。山下智久演じる不動産会社のエース・永瀬財地の下で働く新入社員の月下咲良役を演じた福原。“嘘がつけなくなった”永瀬の悪戦苦闘ぶりを中心に描く作品ではあるが、同時に月下の成長も物語を動かす重要な役割を果たす。同役で見せたフレッシュさは朝ドラヒロインの模範的な姿に通じるものがあり、自ずと『舞いあがれ！』への期待値も上がる。

　そんな福原演じる舞の幼なじみ役は、赤楚衛二と山下美月の2人が演じる。赤楚といえば言わずもがな、“チェリまほ”こと『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』（テレビ東京ほか）で大ブレイク。つい先日最終回を迎えたばかりの『石子と羽男ーそんなコトで訴えます？ー』（TBS系）では、第1話の依頼人として登場してからレギュラーとして主人公2人を支え、終盤でもたらされる波乱の展開のキーパーソンとなる。魅力的な主役演技もできて、助演でも卓越したアシストを見せることができる赤楚。朝ドラという大舞台でさらに人気に拍車をかけることだろう。

　一方、乃木坂46のメンバーとしての活動をメインに、『CanCam』での専属モデルや俳優業に活躍の幅を広げている山下。出演作はまだ決して多くはないが、『映像研には手を出すな！』（MBS／TBS）での一芸に秀でたお嬢様キャラ然り、『着飾る恋には理由があって』（TBS系）の“低温女子”然り、『じゃない方の彼女』（テレビ東京ほか）での魔性キャラ然り、アクセントとなりうる役柄をこなせる器用さについては申しぶんがない。山下が演じる望月久留美は主人公の舞を支えながら、自分自身の困難にも立ち向かうという気丈な役柄。どのように演じるのかは注目しておきたい。