『石子と羽男』脚本・西田征史だからこそのキャラクター設計 『タイバニ』との共通項も

『石子と羽男』&『タイバニ』西田征史の手腕

 努力型でお金の工面に必死な虎徹は、ある日おぼっちゃまで才能溢れる新人バーナビーと会社の都合で組まされる。まさに、石子と羽根岡そのものだ。しかも虎徹と石子が似ているのは、虎徹の場合は能力の減退、石子は過去のトラウマと、才能や経験こそあるのに不可抗力な事情で一歩後ろに立たなければいけない状況になってしまっていること。さらに、二人ともかなり前向きでリード力があるものの、時々やりすぎてしまったり、実は誰にも言えない傷や悩みを一人で抱えてしまったりする面がある。

 バーナビーと羽根岡の類似点もかなり多い。おぼっちゃまであることから、虎徹(石子)の金銭的な努力や悩みをあまり理解していない点や、すごく自信家そうに見えて実はかなり臆病で、虚栄心を張ってしまうところだ。二人がバディを組まされて、文句を言い合ったり喧嘩したりする過程で、お互いの良いところに気づき、何だかんだ良いバディに仕上がってくる点も共通している。石子や虎徹がパワーではなく、持ち前の人間力で人を助ける姿も、その姿を見て成長し、相棒より強く持つパワーで戦いをカバーする羽根岡もバーナビーも、最高に「持ちつ持たれつ」の関係だ。こういった細かい部分でかなり味わい深いキャラクター設計は、西田だからこそ生み出せるものである。

 『タイバニ』も毎話ごとに事件が起こり、ゲストキャラが登場してメインキャラが彼らを助ける。しかし、ゲストキャラをただのモブとして描くのではなく、しっかりそれぞれ一人一人に深いドラマを与えるのも西田の素晴らしい手腕であり、それは『石子と羽男』にも同じことが言える。各回に登場する依頼者の物語を、一切手を抜かずに描きつつ、メインキャラのトラウマや過去、傷を同時に深堀していくことで、バディの物語を紡ぐ。『石子と羽男』の魅力はまさにそこにあり、西田がアニメでも、実写でも、関係なく彼の持ち味や才能を発揮できることを証明する作品となった。

■放送情報
金曜ドラマ『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:有村架純、中村倫也、赤楚衛二、おいでやす小田、さだまさし
脚本:西田征史
演出:塚原あゆ子、山本剛義
プロデュース:新井順子
編成:中西真央、松岡洋太
音楽:得田真裕
主題歌:「人間ごっこ」RADWIMPS(Muzinto Records / EMI)
製作:TBSスパークル、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/ishikotohaneo_tbs/
公式Twitter:@ishihane_tbs
公式Instagram:@ishiko.to.haneo_tbs

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