小池栄子&MEGUMI、グラビアアイドルから代えのきかない女優へ 共通項は“バランス感覚”
グラビア出身の現在40代、バラエティでも活躍する対応力、同性からの厚い支持。多くの共通点を持つ、MEGUMIと小池栄子。バラエティでも活躍するグラビアアイドルは多いが、それらの先陣を切った存在といえる。お飾りとしてのお色気要員ではなく、自分自身の意見をはっきりと言い、媚びない姿勢が光り、いまや隣にいてほしい上司や、悩み事を相談したい頼れる姉貴として君臨している。そして、ともに代えのきかない女優である。これだけの共通点がありながら、まったく違った個性で花開いていて一層面白い。
年齢を重ねた女性としての立ち位置を楽しむMEGUMI
1999年デビューのMEGUMIは近年、年齢を重ねた女性としての立ち位置を楽しんでいるように映る。それも、いわゆる美魔女ではなく、すぐ隣にいる「友人」のような、「自分」のような女性だ。舞台挨拶や、SNS、YouTubeチャンネルなどで本来の彼女を見るに、その色香は増しているが、演技面ではそうしたオーラを封印させることが多い。
2000年代の初めから、芝居活動も重ねてきたMEGUMI。評価が一気に高まったのは2019年公開の草彅剛主演、市井昌秀監督作『台風家族』と、佐藤健主演、白石和彌監督作『ひとよ』(白石監督作では『孤狼の血』でも短い出演時間でインパクトを残した)の連続公開だ。『台風家族』では、若葉竜也扮する年下の彼氏を伴って実家を訪れる長女を体当たりかつ気だるさたっぷりに、『ひとよ』では鈴木亮平演じる長男の別居中の妻役で爪痕を残した。
この両作品で第62回ブルーリボン賞助演女優賞を受賞。授賞式では「ちゃんとした女優さんになりたい」「そこを目標に10年近くやってまいりました」と喜びを口にした。ナチュラルに巧さを操る女優であり、ドラマ『偽装不倫』(日本テレビ系)、『おっさんずラブ-in the sky-』(テレビ朝日系)、『伝説のお母さん』(NHK総合)、『あのときキスしておけば』(テレビ朝日系)、『探偵が早すぎる~春のトリック返し祭り~』(読売テレビ・日本テレビ系)などで、安定した演技を見せていく。特に数いる共演者の中でも、うるさくならずに個性を発揮してみせる。『極主夫道』(読売テレビ・日本テレビ系)での婦人会会長・和子役など実に堂に入ったもので、和子なら、龍(玉木宏)に一歩も引くことなく、受け入れてもくれるだろうと納得できた。
今年1月期に放送された『おいハンサム!!』(東海テレビ・フジテレビ系)で演じた伊藤家の母も、随一のはまり役である。吉田鋼太郎演じる昭和風吹くおやじのカッコよさ&にじみ出る可愛らしさも話題になったが、それも、どっしり構える縁の下の力持ち、MEGUMI演じる母・千鶴の存在あってこそだった。木南晴夏、佐久間由衣、武田玲奈扮する3姉妹の母親という、実年齢よりもかなり上の役にも、変に老けてみせるのではなく、あくまでも自然な形で、彼女たちの母親として、そこに居てみせた。千鶴とはまるで印象の違う『痛快TV スカッとジャパン』(フジテレビ系)で多く演じたボスママ役も好評だったが、どんなにムカつくキャラクターを演じようと、彼女への嫌悪感が湧かないのは、それらを楽しんでいるような、MEGUMI自身の肝の据わりようが気持ちいいからだろう。
そして今、『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』(TBS系)では、颯爽として美しく、一見冷たそうに見えて、きちんと相手を見ようとしている、羽男(中村倫也)の姉で検事の優乃を好演。「隣の女性」感の印象を強くしたところでの優乃役に、やはり巧い人、そして美しい人だなと感じずにいられない。