『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』が熱狂を生んだ理由 愛が詰まった美しく優しい世界に寄せて

『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』熱狂の理由

 「恋」もまた、彼女の日常を美しく彩る。彼女の天敵である「回転ドア」をワルツのリズムで通り抜けることを提案し、彼女を未知の世界へと導いた人物イ・ジュノとの恋は、まさに「踊るような恋」だ。「ズンチャッチャ」のリズムで回転ドアを2人で通り抜ける場面のみならず、現場写真を撮るイ・ジュノについて回るウ・ヨンウの足がまさに踊っているかのように寄り添い続ける、恋を予感させる場面。相手を意識して互いに一歩後ずさりした後に、一気に距離が縮まる瞬間。57秒以内でしか手を繋げないウ・ヨンウとのつかの間の手繋ぎ。最初のキスの瞬間のつま先立ち。2人の手と足の動きが一際印象的に映しだされることで、その恋の初々しさも、「他者と自分がいる世界ではなく、自分だけの世界に慣れている」彼女と、そんな彼女のことが気にかかってならない彼がゆっくりと心を通わせ、歩み寄っていく奇跡も、より深く感じることができるのである。

 そして、彼女の世界が愛と優しさに満ちているのは、彼女が常にユニークな味方たちに囲まれているからだ。優しい父親(チョン・べス)や、親友トン・グラミ(チュ・ヒョニョン)。理想の上司チョン・ミョンソク(カン・ギヨン)や「春の日差し」チェ・スヨン(ハ・ユンギョン)、腹黒策士クォン・ミヌ(チュ・ジョンヒョク)、恋人イ・ジュノら職場の仲間たちとも葛藤の末、深い信頼関係で結ばれていく。彼らを味方に変えたのは、彼女自身だ。信頼できると感じた人の懐には全力で飛び込んでいく彼女の純真さ。放っておけない愛らしさ。いざとなったら確実に誰かを窮地から救い出すことができる、天才肌ゆえである。思ったことを常に率直に口にする彼女の素直さに、人々はいつも心動かされる。

 本作は「普通じゃない」ことの肯定の物語である。彼女は「普通じゃない弁護士」だからこそ、できることがある。大切なことは、互いの欠陥を補い合い、個性の違いを認め合い、共に生きること。そうすれば、世界は確実に今よりもっと豊かになる。そんな社会のあるべき姿を、ウ・ヨンウと仲間たちは教えてくれるのである。

■配信情報
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』
Netflixにて配信中
出演:パク・ウンビン、カン・テオ、カン・ギヨン、チョン・ベス、チュ・ヒョニョン、ペク・ジウォン、ハ・ユンギョン、チュ・ジョンヒョク
演出:ユ・インシク
脚本:ムン・ジウォン

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