『ONE PIECE FILM RED』のAdoに至るまで 音楽×バトルアニメの発展の歴史を辿る
こうした歌とバトルを組み合わせたアニメから、近年は派生作品も生まれている。2021年にはクラシックの楽曲をモチーフにした少女たちが戦う『takt op.Destiny』が話題を呼んだ。
『takt op.Destiny』は厳密には歌唱とバトルとの組み合わせではなく、歌唱の部分がクラシック音楽に変わっている。
クラシックに詳しくなくても日常の中でなんとなく聞いたことのある旋律に載せて、ムジカートたちが戦う姿には、アクション作品でありながら優雅さすら感じてしまう。
ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」からはじまり、チャイコフスキーやグスタフ・マーラーなどの偉大な音楽家の楽曲から戦う力を得るという構図は、過去の音楽×バトルシーンの派生作品として新たな領域を開拓したといえるだろう。
数十年前と比べて、サブスクなどの配信サービスも含め、気になる音楽をすぐに手にすることができるようになった。
だからこそ、クラシックから流行りのアーティストを起用したアニメ映画まで、バトルシーンと音楽アニメの掛け合わせに幅広い音楽性が生まれているのだろう。この先多様な音楽ジャンルと組み合わされたバトルアニメを目にすることができる可能性を考えると、胸が躍る。
まだ『ONE PIECE FILM RED』を観ていない方には、音楽を掛け合わせたバトルアクションアニメの最先端を飾るAdoの歌声を、ぜひ劇場に聴きに行ってほしい。
■公開情報
『ONE PIECE FILM RED』
全国公開中
原作・総合プロデューサー:尾田栄一郎(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
監督:谷口悟朗
脚本:黒岩勉
音楽:中田ヤスタカ
キャラクターデザイン・総作画監督:佐藤雅将
声の出演:田中真弓、中井和哉、岡村明美、山口勝平、平田広明、大谷育江、山口由里子、矢尾一樹、チョー、宝亀克寿、名塚佳織、Ado、津田健次郎、池田秀一
主題歌:「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」Ado (ユニバーサル ミュージック)
配給:東映
©尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会
公式サイト:https://www.onepiece-film.jp