『ちむどんどん』矢作は井之脇海だから成り立つ 凋落する役の説得力は『石子と羽男』でも

『ちむどんどん』井之脇海で成り立つ矢作役

 NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』の第20週「青いパパイアを探しに」では、「アッラ・フォンターナ」の元従業員・矢作知洋(井之脇海)が再々登場する。

 さらに矢作が19歳のときに勢いでプロポーズして結婚したという妻の佳代(藤間爽子)が初登場することも話題になっている。謎の多かった矢作のこれまでの人生にもスポットが当てられるのでは? と期待が高まる。今まで描かれてこなかった矢作のひねくれた言動の真意、彼の本来の姿を知ることができるかもしれない。

 公式サイトには、矢作について「料理人としての野心と確かな才能を秘めながら、新人の暢子には厳しくかつちょっと意地悪にも当たる、ひねくれた部分もある」と紹介されている。(※1)料理に関しては暢子が作ったものを素直に「うめぇ!」と美味しさを認めるものの、自分が先輩として「アッラ・フォンターナ」に暢子を迎えたときには、矢作は無遠慮に冷めた視線を投げかけていた。

 第61話では店に多大な迷惑をかけるのを承知の上で、玉島(櫻井圭佑)と桃木(池田航)を連れ、3人揃って何の前触れもなく退職。オーナーの親戚である後輩の暢子(黒島結菜)ばかりが目をかけられ、優遇されることに不満があったとはいえ、挨拶もなしで辞めてしまったのには驚かされた。

 そして第81話で矢作がいきなり再登場。ガラリと印象を変えて、サングラスにストライプのスーツで現れ、「オーナーに伝えてくれ。もらい忘れてた退職金受け取りに来たってな」と、やけに偉そうに宣言したかと思えば、店の売上金と権利書を持ち出す。麻布の一等地に自分の店を出したものの、資金繰りに苦労した矢作は借金で首が回らなくなっていた。

『ちむどんどん』井之脇海が“悪人”になって再登場? 矢作の身に一体何が起きたのか

『ちむどんどん』(NHK総合)第81話で、視聴者みんなが気になっていた“あの”キャラクターがカムバックした。「アッラ・フォンター…

 矢作は最初から暢子をライバル視していたが、二人には重なる部分も多い。計画性がなく、勢いで独立して自分の店を持とうとすること、美味しいものの前では素直になってしまうところ、料理に関しては情熱を持っているところなど……。

 似ているからこそ反発もしたくなるし、自分は下積みが長くてもなかなか認めてもらえないのに、暢子は自分を変える努力もせずに簡単に欲しいものを手に入れている。そう見えてしまっていたことが、矢作を追いつめていたのかもしれない。

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