『ちむどんどん』に佐津川愛美がいよいよ本格登場? 新しい流れを生むことに期待

佐津川愛美、『ちむどんどん』に本格登場?

 波乱の展開が続く『ちむどんどん』(NHK総合)において、ついに物語の本筋に関わる兆しを見せた佐津川愛美。これまで決して出番が多いわけではなかった彼女だが、いまの本作に新しい流れを生み出す存在として、大きな期待をかけてしまうのは筆者だけだろうか。佐津川が演じる猪野清恵というキャラクターは、そんなポテンシャルを感じさせるものなのだ。

 本作はご存知の通り、黒島結菜演じる天真爛漫で自由奔放なヒロイン・比嘉暢子の物語。沖縄のとある村の出身者である彼女が料理人を志して上京し、人生の壁にぶつかり、社会の波に揉まれながら進んでいくサクセスストーリーだ。これを中心にして、暢子の母・優子(仲間由紀恵)、兄・賢秀(竜星涼)、姉・良子(川口春奈)、妹・歌子(上白石萌歌)ら比嘉家の面々によるサイドストーリーが同時展開してきた。そしてこの中でもっとも話題に事欠かないのが、これまたご存知の通り、いくつになっても問題児の賢秀だ。SNS上ではたびたび彼のことが非難混じりで話題に上がってきたが、筆者個人としてはなかなかに好きな人物でもある(その理由についてはまたいずれ別の機会に)。

 そんな行きあたりばったりのフーテン生活を送る賢秀の拠り所となっているのが、清恵とその父・猪野寛大(中原丈雄)が2人で営む養豚場だ。寛大はその名が示すように、失礼千万な賢秀に対して怒ることもない非常に非常に寛大な心の持ち主。だが一方で娘の清恵は、父・寛大に欠けている“厳しさ”の塊のような人である。これまで多くの人々の優しさに甘えきった人生を歩んできた賢秀とほとんど対等に渡り合える存在が、この負けん気の強い清恵なのだ。演じる佐津川は常に凛々しい佇まいで、発するセリフも鋭くて力強い。それは、大きな身体を活かして豪快な演技に徹する竜星の存在をも圧倒するものだ。賢秀のサイドストーリーが展開し、清恵が登場するたびに彼女の頼もしさを感じている。

 佐津川が朝ドラに出演するのは、これが3度目。2012年には『梅ちゃん先生』に、2019年には『スカーレット』に参加している。しかしなかなか、ドラマの展開に大きく関わってくることがなかった。後者に関しては、“犬の散歩をしていた女性”くらいの印象である(そして、ヒロインの初恋の相手を颯爽とさらって退場した)。これまで相当な数の作品で、控えめな少女から高圧的な女性までをも的確かつ軽快に演じ、観客/視聴者を楽しませてきた佐津川なのだから、彼女が登場するならばいやが上にも期待を抱いてしまうというもの。実際、『スカーレット』の短い出番で“さらった”のはヒロインの初恋相手だけでなく、物語の展開(=シーン全体)そのものでもあった。それほどの力が佐津川にはあるのだ。

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