『石子と羽男』石子と大庭の進んでみることで変わる恋 羽男の“見えない”心情のもどかしさ

『石子と羽男』進んでみることで変わる恋

好意100%でなくとも、進んでみることで変わる恋もある

 それにしても六車を追い詰める石子と羽男の連携っぷりは、もはや一心同体。見事なバディっぷりが気持ちいい一方で、並行しているのが石子と大庭(赤楚衛二)のラブストーリーだ。

石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー

 前回、どストレートな告白をした大庭に、少し考えさせてほしいと返事をしていた石子。その理由は、大庭に対する気持ちが100%ではないためだった。確かに惹かれる部分はある。誠実で、細かな気が利いて、何よりわかりやすく優しい。自分を大事に思っていることがまっすぐに伝わってくる。

 ただ、今の段階ではそんな大庭を「いいな」と感じてはいるものの、「付き合いたい」とは思っていないのが正直なところ。そんな気持ちで告白を引き受けていいのかと迷っていたのだ。加えて事務所の経営が苦しい中、恋愛にうつつを抜かしていいのか、とも。

石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー

 そんな石子の思いを聞き「かったいね〜」と茶化しながらも、後日「あのさ、プライベートが充実してるほうが仕事頑張れるっていう話もあるよ。事務所のこと心配だって言ってたけど、そこについては俺を信じなさい」とそっと寄り添う羽男。

 石子の「それ大庭さんとのこと言ってます?」という質問には答えず、「今回みたいに俺が依頼を持ってきて解決してみせるから、そこは心配いらないよ」とただ加える。ここらへんが羽男の“見えない”心情のもどかしいところ。

石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー

 大庭とのことを前向きに考えるように背中を押しているようにも感じるし、あるいは石子が恋愛を楽しめるように肩の荷を一緒に背負ってあげるという宣言にも聞こえる。もしかしたら、その両方かもしれない。いずれにしても石子の人生を大事にしたいという思いがあるのだけは見える。

 ちょうど高梨と文香の夫婦も、もともとはただの先輩と後輩の関係から始まったのだと聞いたばかり。付き合ってみてから好意が100%になっていく恋もあるのかもしれない。いまや誰よりも信頼できる羽男との関係を確かに感じられるからこそ、石子が前向きに恋に進む決意ができたのではないだろうか。もちろん、そんな石子の心情の変化も憶測でしかないのだけれど。

石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー

 保活のポイント制や、監視カメラをはじめとしたデジタル機器の充実、産後パパ育休といった新たな制度……いろんな法律が整備されたとしても、やっぱり人の心は見えないもの。綺麗事だけじゃ生きていけないけれど、ちょっとした言葉で人生を楽しもうと思うこともできる。だからこそ人生は面白いし、思わぬ喜びに出会えるのだと再認識させられる回だった。

■放送情報
金曜ドラマ『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:有村架純、中村倫也、赤楚衛二、おいでやす小田、さだまさし
脚本:西田征史
演出:塚原あゆ子、山本剛義
プロデュース:新井順子
編成:中西真央、松岡洋太
音楽:得田真裕
主題歌:「人間ごっこ」RADWIMPS(Muzinto Records / EMI)
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/ishikotohaneo_tbs/
公式Twitter:@ishihane_tbs
公式Instagram:@ishiko.to.haneo_tbs

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