『プリズム』森山未來が“普通”に縛られていた過去を明かす それぞれの“愛”に包まれた回に

『プリズム』それぞれの“愛”に包まれた回に

 2週間ぶりの放送となったドラマ『プリズム』(NHK総合)第5話。人間の「愛」という一文字でまとめられた複雑な感情がぶつかり合い、色とりどりの光を放った。

 かつて大学の講師と生徒という間柄でありながら、強烈に惹かれ合った陸(藤原季節)と悠磨(森山未來)。一度は断ち切るつもりだった陸の悠磨に対する思いは、ある真実をきっかけに揺れ始める。7年前、悠磨を退職に追い込んだのは陸の父・朔治(矢島健一)だった。

 自分を責める陸に対し、大学を辞めたのは自分の意志であり、そこに後悔はないことを伝える悠磨。初めて掴んだガーデンの仕事を通して、悠磨は性のあり方を含め、自分を否定し続けてきたことに気づいたという。何にも縛られず生きているかのように見える彼にも、「普通」という鎖に縛られていた過去があったのだ。

 そんな自分を懐かしむ悠磨の晴れやかな顔に、陸は何を思ったのだろう。居場所を守るためとはいえ、父親の期待に沿おうとする自分とは対照的な悠磨の生き様に内心複雑な思いを抱いたはずだ。

 その矢先、皐月(杉咲花)の父・耕太郎(吉田栄作)が心筋梗塞で倒れた。すぐさま病院に駆けつけた皐月は、強い覚悟で耕太郎の回復を待つパートナーの信爾(岡田義徳)に対し、母・梨沙子(若村麻由美)が顔を出しにも来ないことに疑問を抱く。そんな梨沙子の気持ちを慮ったのが、病院まで皐月を送り届けた悠磨だった。

「思いがあるからこそ、整理しきれない。そういうこともあるかもね」

 その言葉通り、梨沙子は耕太郎のことをもう愛していないわけじゃない。まだ気持ちが残っているからこそ、信爾と新たな人生を歩む耕太郎の姿を目の当たりにするのが怖かったのだろう。それを見てしまったら、家族3人で過ごした幸せな思い出が完全に嘘に思えてしまうかもしれないから。

 だけど、実際は逆だった。梨沙子は信爾の言葉を通し、耕太郎自身も家族との時間を幸せに思っていたことを知る。信爾に対するそれとは、また違った色の愛情を耕太郎は梨沙子と皐月に向けていたのだ。そのことにずっと嫉妬していたという信爾は「今はかわいそうな女を見て、勝ち誇った気分?」と梨沙子に問いかけられ、「あなたはかわいそうには見えない」と言葉を返す。

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