『プリズム』森山未來が“普通”に縛られていた過去を明かす それぞれの“愛”に包まれた回に

『プリズム』それぞれの“愛”に包まれた回に

 耕太郎が手放した幸せを自分ではあげられないことを理解しながら、彼のそばにいる決意をした信爾。耕太郎は家族を愛していなかったのだと結論づけ、憎しみで記憶に蓋をしてきた梨沙子。それぞれの苦しみと引き換えに、1人の男を愛し続けてきた2人の思いが交錯する場面に息を呑んだ。

 愛は複雑で、人の数だけ異なる色の光を放つ。第5話はそのことを改めて思わせるやりとりが幾度となく交わされた。綾花(石井杏奈)は剛(寛一郎)が皐月に向ける愛を「執着」という言葉で表す。そんな二人の間にも、明確な色を染めていない愛が生まれようとしている。

 陸とバーのママ・北斗(飯田基祐)の、誰かを大切にするとはどういうことかについての問答も印象的だ。嘘をつかないことは大切。だけど、「相手の見せたいものを見せるのも愛情の一つかもしれない」と思い始めたという北斗。陸は全てを打ち明けることで相手に重荷を背負わせてしまうのではないかと危惧するが、それは背負わせてもらえない寂しさを相手に感じさせることに繋がるかもしれない。きっと正解なんてない、誰も否定できない。夕陽のように温かなオレンジ色だったり、激しく燃える炎のような赤色だったり、それぞれ違った色で美しく光り輝く愛に包まれた回だった。

■放送情報
ドラマ10『プリズム』
NHK総合にて、毎週火曜22:00〜22:45放送<全9回>
出演:杉咲花、藤原季節、森山未來ほか
作:浅野妙子
音楽:谷口尚久
制作統括:小松昌代(NHKエンタープライズ)、岡本幸江(NHK)
写真提供=NHK

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