『ユニコーンに乗って』と『バズ・ライトイヤー』に共通点 西島秀俊の存在が物語の肝に

『ユニコーンに乗って』西島秀俊が物語の肝に

 毎週火曜22時に放送されているドラマ『ユニコーンに乗って』(TBS系)は、若き女性CEO・成川佐奈(永野芽郁)率いるスタートアップ企業が、夢に向かって邁進する姿が描かれている。本作の魅力は、世代の違う大人たちが、互いに尊重し助け合いながら会社としての夢を実現させていくストーリーにある。これを可能にしているのが、48歳で転職活動した末に成川の会社「ドリームポニー」にやって来た小鳥智志(西島秀俊)の存在である。

『ユニコーンに乗って』(c)TBS/撮影:加藤春日

 今作は20代前半のZ世代とミレニアル世代中心のスタートアップ企業に、地方銀行で支店長まで上り詰め「出世街道間違いない」と言われていた小鳥が新人として入社するところから物語が始まる。ドリームポニーは、技術を用いて教育を支援するサービスを展開する「EdTech」の企業で、家庭の収入格差が勉強へのアクセスを困難にしている現状を打破するため立ち上げられた。そんな企業理念に共感したからこそ小鳥はドリームポニーへの入社を決意したが、ITの経験はおろか長年の銀行マン人生で、パソコンもろくに触ったことがないのだ。

 世代や経験が大きく違う仲間と理解し合い、協力しながら仕事をするという姿は、直近だとディズニー&ピクサー作品の『バズ・ライトイヤー』でも描かれた。同作は亜光速で移動を続けるライトイヤーが、自分と同じ世代の仲間と生きる時間がズレ続けた結果、同じポジションの仕事仲間がいつの間にか世代交代しているさまが描かれた。本来であれば自身の孫ほど年齢が離れている若い仲間たちと、同じ価値観、同じ目線を持って仕事をこなす必要性が生じ、最終的には自分自身の価値観をアップデートして新世代の仲間たちと任務を遂行していく。

バズ・ライトイヤー
『バズ・ライトイヤー』(c)2022 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

 現実世界ではミレニアル以前の世代が社会で多く生活をし、企業の重役を務めていることの方が多い。また社会全体が男社会であるため、“若い女性”がこの社会で真っ当に評価され、活躍していくのが困難な場合が多くある。『ユニコーンに乗って』でも、主人公の成川が仕事で小鳥と行動する中で上司部下の関係性を誤認されたり、仕事相手の年上男性からハラスメント行為を受ける様が描かれている。また、成川が憧れる起業家・羽田早智(広末涼子)は第4話で「昔はスーツはいつもパンツスタイルで、髪の毛は短髪にすることで相手に舐められないようにしていた」と語るシーンがあった。

 本作は、若くして企業した女性CEOのもとに大きく世代の異なる男性が部下としてやって来るという点から、2015年公開の映画『マイ・インターン』を彷彿とさせる。同作はシニア・インターン制度により70歳の男性が新たに雇用され、その人柄と仕事への誠実さから徐々に社内の若い世代からも信頼されていく様が描かれており、今作の小鳥に通じる部分が多い。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる