『説得』にみるジェーン・オースティン作品の共通点 いつの時代にも通じる“愛”
ジェーン・オースティン原作の『説得』がNetflixで7月15日より配信スタートし注目を集めている。ジェーン・オースティンは、19世紀のイギリスで活躍した女性作家だ。彼女の作品には、当時の女性の結婚観や恋愛を描いた物語が多く、恋はしたものの生涯独身として過ごした、自身の経験も映し出されているとされている。Netflixで大人気のドラマ『ブリジャートン家』にも描かれているように、当時の女性は結婚は一つの生活手段として考えていた。愛のない結婚も、お金や生活のためならやむを得なかったのだ。そんな当時の常識を皮肉っぽく表現していて、反対に人間の愛の偉大さを感じることができる。
オースティン自身については、『ジェイン・オースティン 秘められた恋』というアン・ハサウェイ主演の映画にもなっているが、彼女の作品は何度も映像化されている。中でも、最も有名で映像化されている作品は『高慢と偏見』だろう。エリザベスとダーシーという階級の異なる男女の物語で、不器用で傲慢な態度をとってしまう様子や階級の違いから生まれる偏見について描きながらも、本質的な愛についても考えさせられる作品だった。
映画版では、1940年にシェイクスピア作品に多く出演していることで知られるローレンス・オリヴィエがダーシー役を演じている。また、2005年には『プライドと偏見』というタイトルでキーラ・ナイトレイが主演を務めているのも記憶に新しいだろう。さらに1995年に放送したドラマシリーズでは、コリン・ファースがダーシー役を演じていることでも有名だ。
そして、2020年に再びアニャ・テイラー=ジョイが主演で映画化されたのが『エマ』である。ポップな家具や服装が現代の価値観ともマッチして、テンポ良く流れる作品だ。主人公のエマも結婚願望はなく、富にも社会的地位にも興味がない。知性があり、他人のお節介までするエマだが、それ以上に自分が他人から受ける愛に対してはとても鈍感なのだ。身近な存在に愛を感じ、一歩成長する女性の姿を描いていた。