『説得』にみるジェーン・オースティン作品の共通点 いつの時代にも通じる“愛”

『説得』ジェーン・オースティン原作の共通点

 『説得』ではタイトルにもある通り、この「説得」という言葉がこの物語全体を取り巻いている。結婚相手の裕福さが重要視されていたこの時代では、愛だけで結婚することは周囲からはよく思われていなかった。主人公のアン(ダコタ・ジョンソン)とウェントワース(コズモ・ジャービス)は愛し合っていたものの、ウェントワースが地位もお金もないという理由で、アンは家族から「説得」され、やむなく別れることとなる。

 8年の月日が経ち、ウェントワースが出世し戻ってくるところから物語のメインが描かれているのだが、アンに対してウェントワースの友人が、彼に海軍に戻るよう「説得」して欲しいというシーンがある。海軍に戻るということは、アンのそばからまた離れてしまうということであり、未だウェントワースを愛していたアンにとっては、2度目の苦しい説得であった。それでも、2人の心は既にお互いに対する愛で満たされていたのだ。いくら説得されようと、愛に勝るものはない。「女性の愛は理性にとらわれない」「女性の方が長く愛し続けるの」と、アンが言うように彼女はずっとウェントワースを想い続けていた。

 ジェーン・オースティンの作品は、いつの時代にも通じる、富や地位に左右されない「愛」を描いているからこそ、読み継がれ続けてきたのではないだろうか。そして映像化をし、より煌びやかなイギリス貴族の世界を描くことで、視聴者はさらに惹きつけられていく。いつの時代も進化し続けるオースティン作品には、今後も目が離せない。

■配信情報
『説得』
Netflixにて配信中

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