『量産型リコ』主演の与田祐希に山下美月、久保史緒里も 俳優業で羽ばたく乃木坂46 3期生

『量産型リコ』与田祐希、活躍する乃木坂3期

 先日、西野七瀬が出演している映画『恋は光』を観た。俳優としての西野七瀬という存在を世に知らしめた『あなたの番です』(日本テレビ系)をはじめに、昨夏公開の映画『孤狼の血 LEVEL2』や舞台『月影花之丞大逆転』など、多種多様な、言い方を変えれば彼女自身とはかけ離れたアバンギャルドな役柄が多くあった西野だが、『恋は光』で演じる北代は等身大の彼女に限りなく近い役柄だ。長年西野を応援してきたファンであればあるほどその自然体の演技はきっと嬉しいワンシーンの連続であり、なおかつ中盤からラストにかけてはナチュラルな輝きはそのままに、繊細な心情描写をその表情や仕草、目の動きへと映し出していく。今(撮影自体は昨年の夏であるが)の西野の俳優としての実力が真っ直ぐに味わえる作品だ。映画、ドラマ、舞台に出演するだけでなく、時にタレントとしての横顔も見せるマルチな西野は、乃木坂46卒業メンバーの中でも特に前進し続けている一人と言える。

 そういった俳優としての道が全てでないことはもちろんだが、乃木坂46のメンバーからは一つのロールモデルとして羨望の眼差しを集めていることは確かだろう。特に先月、日産スタジアムで開催された『10th YEAR BIRTHDAY LIVE』にて、昔も今も変わらない姉妹のような関係性を滲ませていた与田祐希にとって、西野は特別な存在だ。そんな与田は本日6月30日深夜より放送のドラマ『量産型リコ -プラモ女子の人生組み立て記-』(テレビ東京系)にて主演を務める。『日本沈没ー希望のひとー』(TBS系)のスピンオフドラマにあたる『最愛のひと~The other side of 日本沈没~』(Paravi)や『ほんとにあった怖い話 2021特別編』(フジテレビ系)内の「或る学校の七不思議」にて主役を張っていたことはあったが、地上波連続ドラマとしては初の主演だ。『日本沈没ー希望のひとー』や映画『ぐらんぶる』(2020年)などの話題作にも出演し、着実に俳優としての道を歩んできた与田にやってきたビッグチャンスである。

 なぜビッグチャンスなのかは、この『量産型リコ』がプラモデルとの出会いを描いた本格的なホビー・ヒューマンドラマだからだ。タイトルの元ネタでもある「量産型ザク」をはじめに、実際のガンプラ(だけでなくタミヤのミニ四駆も!)が登場する本作には、乃木坂46のファンのみならず多くのプラモデルファンからも注目を集めている。創刊21周年の『月刊ガンダムエース』(KADOKAWA)に与田のインタビューが掲載されるなど、これまでのプロモーション方法とは趣向がかなり異なっており、ガンダムファンに「与田祐希」という存在が知られるだけでもすでに成功とも言えるが、そこからさらに認知の領域までいくには、与田の実力次第となる。ただ、予告映像を観てもそれはまるで『恋は光』における西野のように自然体な姿であり、与田のファン層をさらに広げるステップの一つになる予感がしている。

『量産型リコ』

 先述した乃木坂46の10周年ライブで改めて示されていたのは、3期生・4期生メンバーがグループの中心にいるということ。その勢いは乃木坂46の枠を飛び出し、それぞれが俳優としても充実した活躍を見せていることにも表れている。ここで注目したいのは与田と同じ3期生。最近、立て続けに出演作が発表されているのが久保史緒里である。昨年、彼女にとっての大きなターニングポイントとなり、その演技力の高さから観る者を惹きつけてやまなかった舞台『夜は短し歩けよ乙女』。そこで演じた黒髪の乙女という役柄、さらには舞台そのものとの“御縁”は、オムニバスドラマ『サマータイムマシン・ハズ・ゴーン』(フジテレビ系)の一編「乙女、凛と。」の出演へと繋がっていく。強烈な求心力を帯びる久保が今夏演じる作品は2つ。まずはドラマ『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』(TBS系)のスピンオフにあたる『塩介と甘実―蕎麦ができるまで探偵―』(Paravi)だ。注目したいのはシーズンレギュラーとして出演していた『ラヴィット!』(TBS系)にて何度も共演(怒号を浴びていた)していたおいでやす小田のバディ役であること。さらに甘実(久保史緒里)の「まじめで頭が良く清楚な見た目だが、実は口が悪く毒舌な東大・法学部に通う女子大学生」という設定も、久保が連続ドラマ初主演を務めた『クロシンリ 彼女が教える禁断の心理術』(カンテレ・BSフジ)と通ずる部分があり、久々の毒舌キャラが楽しめそうだ。そして、9月からは主演舞台『桜文』にて、吉原随一の花魁・桜雅 役を演じることが発表されている。乃木坂46の中でも特に清純なイメージを持つ久保にとって妖艶な佇まいが求められる、公式にも謳われている通りにさらなる領域に踏み出す“新しい挑戦”になるだろう。

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