過去の出来事を新たに描いた『オビ=ワン・ケノービ』の功績 レイアの人物像がより鮮明に

『オビ=ワン』レイアとの冒険物語

 ただ、筆者が『スター・ウォーズ』シリーズを好きな理由の一つは、ユーモラスでクスッと笑えるようなシーンが度々盛り込まれていることなのだが、『オビ=ワン・ケノービ』はずっと緊張感が途切れず、つらい描写が続き、笑えるパートはほぼ皆無と言える。シリーズで楽しい部分は、主にユニークなドロイドの面白さだが、本作ではドロイドと人間の友情はわずかに描かれるものの、残念ながらそこにユーモアはない。これにはちょっとガッカリしてしまったが、主演のユアン・マクレガーの秀逸な感情表現や、レイア役のヴィヴィアン・ライラ・ブレアの達者な演技に心をつかまれ、笑うところはなくとも感動するところは多かった。特に、アナキンは生きていると知った時のオビ=ワンの驚きを体現したマクレガーの名演技は素晴らしく、この先も忘れられないだろう。

 オビ=ワンの心の葛藤が痛いほど伝わってきた『オビ=ワン・ケノービ』。最終話の後半には心が震え、嗚咽するほど泣いてしまった。長い間、『スター・ウォーズ』シリーズを愛してきて良かったと改めて思った。もしもシーズン2が製作されるのなら、子供のルークとオビ=ワンのやり取りをもっと観たいし、ぜひ面白いドロイドのエピソードを入れてほしい。

 最後に、ヘイデン・クリステンセンがアナキン/ダース・ベイダー役で出演し、久しぶりに彼の活躍が観られて嬉しかったことと、ベイダーの声を変わらずジェームズ・アール・ジョーンズが演じていて大満足だったことを付け加えたい。もちろん、“あの人”がサプライズで登場したことで大いに心が満たされた。全6話があっという間に感じられるTVシリーズだ。

■配信情報
『オビ=ワン・ケノービ』
ディズニープラスにて独占配信中
監督:デボラ・チョウ
出演:ユアン・マクレガー、ヘイデン・クリステンセン、モーゼス・イングラム、ジョエル・エドガートン、ボニー・ピエス、クメイル・ナンジアニ、インディラ・ヴァルマ、ルパート・フレンド、オシェア・ジャクソン・Jr、サン・カン、シモーヌ・ケッセル、ベニー・サフディ
製作総指揮:キャスリーン・ケネディ、ミシェル・レイワン、デボラ・チョウ、ユアン・マクレガー
脚本:ジョビー・ハロルド
(c)2022 Lucasfilm Ltd.

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