過去の出来事を新たに描いた『オビ=ワン・ケノービ』の功績 レイアの人物像がより鮮明に
壮大な3部作を楽しんだ後、その過去と、その後のストーリーを知ることができるという、非常に稀で貴重な体験を堪能させてくれた、全9作におよぶ映画『スター・ウォーズ』シリーズ。さらに関連アニメや実写TVシリーズも次々と製作され、現在ディズニープラスで配信中の『オビ=ワン・ケノービ』は、双子のルーク・スカイウォーカーとレイア・オーガナが10歳の時に起きた物語を、オビ=ワン・ケノービを主人公にして描く最新TVシリーズだ。
※本稿は『オビ=ワン・ケノービ』のネタバレを含みます。
本作は、映画『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』のラストから10年後が舞台。ベイル&ブレア・オーガナ夫妻のもとで育てられていた10歳のレイア姫が誘拐され、ベイルに頼まれたオビ=ワンがレイアの救出に奔走するという新説が冒頭から描かれる。これまで、ルークとオビ=ワンの関係は詳しく伝えられてきたが、オビ=ワンが幼いレイアと深く関わっていた過去の出来事を新たに取り上げることによって、ルークだけではなく、レイアも大切な存在であったことが強調され、良い切り口だと思った。
愛弟子のアナキン・スカイウォーカーが暗黒面に堕ち、彼を救えなかったことで心に大きな傷を負ったオビ=ワンは、ジェダイであることを隠しながら、庶民“ベン・ケノービ”として目立たないようにひっそりとタトゥイーンで暮らしている。彼は、オーウェン&ベルー・ラーズ夫妻に引き取られたルークを見守ることを使命としていたが、ベイルからレイアの奪還を懇願される。ルークのいるタトゥイーンを離れられないと言うオビ=ワンに、ベイルは「妹(レイア)も同じように重要だ」と告げ、オビ=ワンをハッとさせる。アナキンとパドメ・アミダラ元老院議員の子供であり、ジェダイの血を引く双子のルークとレイア。これまで本シリーズでは、男児であるルークはジェダイを継ぐ者として、“跡取り”のように重要視される描き方をされてきたかもしれないが、現代のドラマである『オビ=ワン・ケノービ』は、女児であっても重要な存在であることは同じだという、ジェンダー問題を取り入れてきた印象を受けた。
故キャリー・フィッシャーが演じたレイアは、『スター・ウォーズ』シリーズの人気キャラクターの一人だが、彼女の子供の頃を詳細に描出することで、レイアの人物像がより鮮明になったことは、『オビ=ワン・ケノービ』の功績だと思う。また、幼いレイアがオビ=ワンに与えた影響も本作の重要なポイントだ。彼女と“冒険”を共にすることで、オビ=ワンは再び活力を取り戻し、ジェダイとしての使命を再確認するようになる。そこには、とても惹きつけられた。