『プリズム』杉咲花が父との時間を見つめ直す 藤原季節と森山未來の過去が明らかに

『プリズム』杉咲花が父との時間を見つめ直す

 耕太郎、梨沙子、信爾の交錯する思いの中心に皐月がいる。誰のことも責められないが故に苦しむ皐月を救ってくれたのは、陸の言葉だ。陸は耕太郎も“嘘”と“本当”の境目なんて分かっていないと分析する。だから「その時間を大切だと思うなら、自分の中で大事にしていけばいい」と。そんな陸にもあれは嘘じゃなかったと信じたい過去があった。

 薄暗いバーの店内で、普段とは違う雰囲気を纏った陸は店主・北斗(飯田基祐)に問いかける。

「心が通じ合えて、一つになれたと思った人が突然目の前からいなくなっちゃったことってある?」

 陸がかつて心を通わせた人、それはリガーデンプロジェクトに参加することになったガーデナーの白石悠磨(森山未來)だった。北斗の「“私たち”は好き同士、堂々と腕組んで表を歩けないもんね」という台詞。それはやはり陸がセクシャルマイノリティであることを意味しているのだろう。

 悠磨と心が通じ合った時間、そして彼を忘れられない一方で、皐月とどんな意味であれ、心を通わせ始めていること。陸が皐月に送った言葉は、そのどちらも“嘘”じゃないと思いたい自分に向けたものでもあったのかもしれない。奇しくも、母親と同じ道を辿ることになるであろう皐月。3人の関係がどんな帰結を迎えるかは分からないが、彼女がいつか陸と過ごした時間を思い出として大切に保存する日が訪れるとしたら切なすぎる。

■放送情報
ドラマ10『プリズム』
NHK総合にて、毎週火曜22:00〜22:45放送<全9回>
出演:杉咲花、藤原季節、森山未來ほか
作:浅野妙子
音楽:谷口尚久
制作統括:小松昌代(NHKエンタープライズ)、岡本幸江(NHK)
写真提供=NHK

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