『ちむどんどん』飯豊まりえの表情が切ない 愛の言葉を遮る和彦の目線の先には暢子

『ちむどんどん』応援できない飯豊まりえ

 『ちむどんどん』(NHK総合)第68話、沖縄角力大会の日がやってきた。大会で毎年配られるお弁当を今年は暢子(黒島結菜)が作った。暢子特製の魚とゴーヤーのてんぷら弁当は会場で評判だ。そんな中、愛(飯豊まりえ)が暢子の元へやってきた。

 角力大会にやってきた愛の服装はこれまでと違う。今まで清楚な服を着ていた印象があるが、この日は色鮮やかな服に身を包んでいた。濃密な1日を4人で過ごした後、何かが吹っ切れたのは暢子だけではなかったようだ。

 そんな愛は暢子に「暢子ちゃんには、本当に感謝してる」と話す。「暢子ちゃんのおかげで自分が本当は何をやりたくて、何にちむどんどんするか、はっきり分かった」「私はきっと、あの日4人で過ごした時間を一生忘れない」と話す愛の表情はとても穏やかだった。

 飯豊が見せる表情は、賢秀(竜星涼)や暢子が見せるダイナミックな表情に比べると静的に感じられるが、決して愛の感情が見えないというわけではない。控えめな演技だけれど、そこからは愛の繊細な心の揺れ動きや精神的に自立した人物像が伝わってくる。

 和彦(宮沢氷魚)を探す愛は、順次(志ぃさー)が口を滑らせたことで、智(前田公輝)が優勝したら暢子にプロポーズするつもりだということを知る。そして和彦がそのことを聞いたということも。「それを、和彦も聞いたんですね」と愛が言った時、彼女は笑みを浮かべながらも目を伏せていた。どこか気落ちしたようにも見えた。その後、愛は暢子とともに和彦を見つける。暢子特製弁当を食べていた和彦は暢子に「今まで食べたてんぷらの中で一番おいしい」と笑顔を見せる。和彦と暢子のやりとりを横で見ていた愛の心中は複雑だったはずだ。暢子が立ち去った後、和彦の背中を見つめながら、何かを決意したかのように息をつく姿が心に残る。

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