『オールドルーキー』が描くスポーツとビジネスの相克 綾野剛と稲垣来泉が親子の感情体現

『オールドルーキー』綾野剛と稲垣来泉の感情

 第2話は、親から子へ、また子が親に対して抱く感情の交錯がポイントだった。泉実が新町の引退を受け入れられないのは、「サッカー選手だったパパ」が好きだったこともあるが、引退した新町が自分の居場所をうまく見つけられないことも関係している。新しい仕事で苦労する新町は、サッカーをしていた時と違って生き生きとしていない。引退という選択を喜んでいいかわからないのだ。新町自身も現役だった頃の感覚が捨てきれず、サッカーの試合を観ると自然にテンションが上がる。泉実たちの反応を見て、家族のために頑張ろうと決意するが、頭でわかっていてもアスリートとしての本能が上回る瞬間がある。身近でよく知る人間には、余計に無理をしている感じが伝わってくる。

オールドルーキー

 近くにいてわかりすぎてしまうが故に親子関係は厄介だ。ひかりが悠一に言い出せなかったのも、まだ子どもだからという以上に、父親の指導が愛情の裏返しだと知っていたから。しかし、それが成長の妨げになっているなら、一度冷静に考え直す必要がある。親子だから見えなかったものがひかりと悠一の間にはあり、父親だったから気づけたものが新町にはあった。

オールドルーキー

 もう一つ、新町にとって武器になったのが、アスリートとしての経験だ。スケートボードのプロがシグネチャーモデルを出す人間であるように、プロの世界は年齢や性別が決定的な要因にならない。1人のアスリートとして向き合う中で、新町は矢崎(横浜流星)やひかりの隠れたニーズをキャッチできた。新町に触発された梅屋敷は、高槻の不振の理由を把握できた。しかし、新町が持ち込んだアスリートの感性を、高柳は手放しで歓迎していないように見える。報酬を得て結果を残すことをプロと呼ぶなら、新町がスポーツとビジネスの狭間で引き裂かれる事態は容易に想像できる。新町の選択に注目だ。

■放送情報
日曜劇場『オールドルーキー』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:綾野剛、芳根京子、中川大志、岡崎紗絵、増田貴久、生田絵梨花、稲垣来泉、泉谷星奈、高橋克実、榮倉奈々、反町隆史
脚本:福田靖
演出:石井康晴
プロデュース:関川友理、松本明子
編成:東仲恵吾、高橋秀光
音楽:木村秀彬
主題歌:King Gnu「雨燦々」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
サッカー監修:大久保嘉人
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/OLDROOKIE_tbs/
公式Twitter:@oldrookie_tbs
公式Instagram:oldrookie_tbs

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