『ちむどんどん』暢子は和彦とどんな関係性を選ぶのか 房子が与えたニーチェの言葉が刺さる
放送開始からおよそ3カ月が経ち、『ちむどんどん』(NHK総合)も第12週「古酒交差点」で第60話に到達。いまだ次期朝ドラ『舞いあがれ!』の放送日と『ちむどんどん』最終回の日程は発表されていないものの、これまでの慣例通り(前期朝ドラ『カムカムエヴリバディ』は全112回)であればこの第12週が折り返しとなる。
そんな節目の週に暢子(黒島結菜)はようやく自身の気持ちに気づくこととなる。それは和彦(宮沢氷魚)への秘めた恋心だ。フォンターナでたまたま耳にしてしまった和彦と愛(飯豊まりえ)の婚約の話に動揺を隠せない暢子の姿が前兆としてあるが、さらに暢子へ追い討ちをかけるのがキス寸前の和彦と愛の現場を目撃してしまうことである。
和彦も和彦で、愛という素敵な相手がいながら「問題がないことが問題」「彼女に対する不信感とか愛情の薄れではなく、おそらく……」「このまま結婚したらいけないような気がして」と逡巡を巡らすばかり。暢子に匹敵するほどの超鈍感(かつ自己陶酔型)な和彦も自身の暢子への好意に対して半信半疑にあり、その揺れる思いに気づいてしまっているのが愛という状態。そこに暢子へのプロポーズを勝手に済ませたと思い込み、沖縄の両親に挨拶しようと計画を立てる智(前田公輝)もいる。
暢子は、房子(原田美枝子)と朝まで沖縄の古酒を酌み交わす中で、生まれて初めての恋愛感情に気づいていく。酒癖の悪さは賢秀(竜星涼)に似て……とまではいかないが、若干の絡み酒タイプ。房子からの問いかけや「幸せってなんですか?」という自問自答を繰り返していく中で、暢子は自ずと「恋人がいるのに、好きとか言えないじゃないですか」というある種の“答え”に辿り着く。自分が発した言葉に驚いて黒目を左右にコロコロ動かし、暢子は「アイヤー……ぽってかす」と深い眠りについていく。