チャ・スンウォン、イ・ビョンホンら『私たちのブルース』俳優たちの“名演”を味わう4作
「生きている私たちみんなが幸せ」
脚本家ノ・ヒギョンの温かなメッセージを伝え、最終回で最高視聴率18.6%(有料プラットフォーム、首都圏世帯基準/ニールセンコリア提供)を突破して熱い愛を受けた『私たちのブルース』。“カリスマ脚本家”であるノ・ヒギョンが15人の主人公を立ててオムニバス形式で物語を展開した本作は、メインエピソードの中に人生の絶頂、終わり、始まりに立っているすべての人々の物語を盛り込んだ。名脚本家の名の元に集結したのは、韓国を代表する名俳優たち。それぞれ傷と事情を抱えた人生を多彩に描き出した彼らの演技を観ているだけでも、格別の感動を味わえる作品だ。メインキャストはもちろん子役から助演まで、全ての俳優たちが驚くべき演技力を披露した本作だが、その中でも特に印象的だった俳優たちをピックアップして、彼らの“名演”を味わえるおすすめの出演作を紹介したい。
チャ・スンウォン『ある日~真実のベール』
トップバッターを飾ったのは、ハンス(チャ・スンウォン)とウニ(イ・ジョンウン)のエピソードだ。アメリカにいる娘のゴルフ費用の捻出に苦しんでいる銀行支店長ハンスが、故郷の済州に転勤になり、魚屋を経営するウニと再会する。30年ぶりの初恋の人にときめいていたウニとは異なり、ハンスはお金を借りたいという考えが頭をよぎっていた。そんな考えとは裏腹に今もなお輝いた眼差しで自分を見つめるウニに、ハンスは最も輝いていた青春時代を思い起こし、変わってしまった「今」に思いを馳せる。人生に苦しむ中年の友人が、お互いを慰める方法を描き、友情と温かい情が何なのかを感じさせてくれたエピソードだ。中年のぼろぼろ感と貫禄、人生の重さがチャ・スンウォンの目つきに込められていた。海の上に浮かび、過去の自分を見つめて涙を浮かべるシーンでは、繊細な表情、演技に魅せられてしまう。
そんな彼が驚異的な変身を遂げたのが、『ある日~真実のベール』だ。2008年にイギリスBBCにて放送された『クリミナル・ジャスティス(原題)』のリメイク作である本作は、一晩にして殺人容疑者になってしまったキム・スヒョン演じる平凡な大学生と、チャ・スンウォン演じる三流弁護士が、冤罪を晴らすため司法制度に挑んでいく犯罪ドラマ。彼が演じたロン毛に無精ひげ、スーツにスリッパを履くクセの強い弁護士は、暗くどんよりした劇に休息をもたらす。粘り強く不条理な司法制度に向き合い、闘う姿は格別なカタルシスを与えてくれるはずだ。
チェ・ヨンジュンのブレイク作『賢い医師生活』
視聴者の間で「最も印象的だったエピソード」との声もあるのが、高校生である娘と息子の妊娠を知った父親、イングォンとホシクのエピソードだ。父親を演じたパク・ジファンとチェ・ヨンジュンの演技は、「言葉は必要ない名演技」と絶賛の声が相次いだ。イングォンとホシクは犬猿の仲。子供たちの妊娠をきっかけに、いつもいがみ合っていたふたりの過去に何があったのかが明らかになっていく。一人で子を育て上げた父の愛と親子の絆、そして父二人の熱い友情に涙なしでは見れないエピソードだ。
娘・ヨンジュ(ノ・ユンソ)の妊娠を初めて知ったホシクの心の内を表現するかのような「扇風機の首」シーン。男手一つで学校一の優等生に育て上げた娘が妊娠した事実を知った動揺と、娘が離れてしまう寂しさで、まるで子供のように泣くあの場面は、切なさで胸がいっぱいになる。
チェ・ヨンジュンは、『悪の花』、『ヴィンチェンツォ』、『調査官ク・ギョンイ』などそれぞれの作品で全く異なる魅力を見せ、出演作が相次いでヒットしている名脇役。彼が大きな注目を浴びたのが99ズの同期で情報通の救急医学科ポン助教授を演じた『賢い医者生活』シリーズだ。彼特有の哀愁あるオーラで作品に深みを与えている一方で、落ち込んだ後輩のレジデントに近づき慰めを伝えたシーンでは、彼から滲み出る温かさに涙が出てしまう。『私たちのブルース』の劇中、ヨンジュの相手であるヒョン役を演じたペ・ヒョンソンが、双子のインターン、ホンド役で出演しているのも見逃せない。