『鎌倉殿の13人』“成長著しい”坂口健太郎の登場が話題に 小栗旬にそっくりな雰囲気も
一方、坂口演じる金剛は実直で素朴な人物だ。初めて仕留めた獲物を鶴丸(きづき)と2人で義時に知らせる場面では、その飾り気のない笑顔が印象的だった。金剛はまだ若く、人と人との関係性を理解しきれていないため、その言動は時に父・義時をハラハラさせる。成果の出ない万寿の目の前で鴨を射抜いたときと万寿が仕留めた子鹿について口を挟むシーンでは、あまりの空気の読めなさに思わず笑ってしまう。そして同時に、父・義時を感じさせる坂口の演技に驚かされた。というのも、鳥を仕留めた後に発した「すみません……」や義時に諌められるほどの空気の読めなさが、かつての義時にそっくりなのだ。
坂口は公式ガイドブック内のインタビューで「頼時(金剛)は父・義時の背中を追いかけて成長しただろうから、小栗旬さんの芝居をまねる瞬間があってもおもしろいかな、などと……」と話している。初登場となった坂口の演技は、日々の米を数えている方がいいと思っていた頃の義時にとても似ていた。そのことは巻狩りのシーンにコミカルさを与えるだけでなく、金剛の真面目さを伝えるものとしても効果的だったように思う。
金子と坂口、2人の演技が見せる万寿と金剛の信頼関係も印象深い。巻狩りで鹿を仕留めた後、万寿は自分の秘めた決意を金剛にだけ明かした。金剛の「楽しみにしています」という言葉に、万寿は軽く微笑む。幼い頃から知っている間柄の2人だからこそ、言葉がなくとも伝わる思いがあるのだと感じた。
曽我兄弟が襲撃した夜に万寿が発した「金剛、お前はここでわしを守れ」という言葉も、強い言葉の発し方には金剛との立場の違いが感じられたが、金子の台詞回しには金剛への深い信頼も感じられた。頼朝と義時が築き上げてきた強い信頼関係と同等のものを、金子と坂口はすでに築き上げている。
■放送情報
『鎌倉殿の13人』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:小栗旬
脚本:三谷幸喜
制作統括:清水拓哉、尾崎裕和
演出:吉田照幸、末永創、保坂慶太、安藤大佑
プロデューサー:長谷知記、大越大士、吉岡和彦、川口俊介
写真提供=NHK