『17才の帝国』が描く“真実”とは一体何なのか 誰よりも怖い、星野源演じる平の心

『17才の帝国』が描く“真実”とは

 平の怖い部分は、第4話で明らかになる。彼もウーアでの総理大臣を目指し、ソロンが行う面接を受けていたのだ。平はソロンになぜ自分はウーアの総理に選ばれなかったのかと聞く。ソロンは「あなたは私との対話の間、一度も本当のことを話していませんでした」「理想を語りながら、そこに真実はありませんでした」と答える。ウーアとの面接は、実に3日間で10時間にもわたってなされたというのだから、どれだけ平の「本当」や「真実」がどこかに行ってしまっていることがわかって、ゾっとしてしまった。

 このドラマでは、平にも、そしてほかの誰にも「17才」のときには、「真実」があったと思わせるものがある。それこそが、視聴者にも刺さるところになっているのではないか。しかし、深く深く考えていくと、現在17才の真木の「真実」というものも、一体何なのだろうかと思えてもくる。

 一方で、このドラマには、まだ明らかにされていない要素がある。サチが自分にそっくりな姿であることを知り、吐き気を催すほどのショックを受けた、真木がAIでよみがえらせ、成長させた「雪」という少女。そして、「雪」が亡くなった理由が、鷲田総理と関係があるということ。こうした謎の部分が、最終話で一気に明らかになるのだろう。

 第1話の冒頭、サチは、3本の塔のふもとにあると思われるソロンの正体と対峙し、なんとも言えない表情を見せていたが、それはどんな意味を持つのだろうか。最終回が楽しみ……というよりも、最終回を観ないではいられないという気分である。

■放送情報
『17才の帝国』
NHK総合にて、毎週土曜22:00〜放送(全5回)
出演:神尾楓珠、山田杏奈、河合優実、望月歩、染谷将太、星野源ほか
作:吉田玲子
制作統括:訓覇圭
プロデューサー:佐野亜裕美
演出:西村武五郎、桑野智宏
写真提供=NHK

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