『鬼が笑う』監督が“外国人労働者問題”を語る 「SNSでつぶやくだけでは全然意味がない」
一方、NPO法人を立ち上げ、外国人労働者をサポートする活動を行う高校3年生の松岡は、「日本には技能実習生が44万人来ていて、失踪する人が3%いるのが現状」とし、「改善策は、もちろん国とか上の人たちが決めること。自分たちは草の根というか、年が近い者同士わかり合えることもあるんじゃないかなと思って交流のイベントを開いたりしている。数は少ないけれど、現場の人たちを支えていける人間なのではと思っています」と力強く話した。
このような中で「メディア(映画)は何を伝えることができるのか」という問いに、半田は「僕自身は演じる側なので、与えられたものを演技でどう表現していくかなんですけど」と前置きした上で、「外国人技能実習生の方の描写については、こうしてお話しするよりも、テレビでドキュメンタリーをご覧になるよりも、映画にはそれを上回る力があると思う。納得するとか、知識として心や頭に入るのではなくて、体感していただける芸術手段。スクリーンの中に入り込んで体験する。それが映画の力だと信じています」と胸を張る。
続く三野監督も、「問題に対して自分が何か思ったとしても、SNSでつぶやくだけでは全然意味がないというか。作品にするからこそ、『自分がこう言いたい』という自己満足じゃなくて、客観的にお客さんに観てもらえる。もちろん映画も自分の言葉ではあるけれど、作品だからこそ、総合芸術だからこそ、スッと心に入ってくるんじゃないかなと信じて作っている」と熱を込めた。
最後に半田は、「外国人だとか日本人だとかっていうことではなくて、“人間”を描いている作品です」とあらためて映画をアピール。「人間の生と死、善悪の固定観念を覆す力のある作品だと自負しているので、それぞれの真実を見つけていただけたら」と呼びかけ、締めくくった。
■公開情報
『鬼が笑う』
6月17日(金)テアトル新宿ほか全国にて劇場公開
出演:半田周平、梅田誠弘、赤間麻里子、坂田聡、大谷麻衣、岡田義徳ほか
監督・編集:三野龍一
脚本:三野和比古
プロデューサー:三野博幸
配給:ラビットハウス
製作:ALPHA Entertainment/KCI
2021年/日本/カラー/2:1/DCP/124分
(c)2021 ALPHA Entertainment LLP「鬼が笑う」