トム・クルーズが導く新たな映画体験　『トップガン』の限界に挑んだ『マーヴェリック』

　『トップガン』で主演を務めた当時のクルーズは新進若手俳優で、『卒業白書』（1983年）や『カクテル』（1988年）など、青春コメディ映画や軽いタッチの作品に数多く出演。しかし、『トップガン』の大成功でスターダムを駆け上がった後は出演作のチョイスが広がったからか、ベトナム戦争をテーマにした『7月4日に生まれて』（1989年）や、法廷映画『ア・フュー・グッドメン』（1992年）などシリアスな作品へのチャレンジが続き、その後に主演した『ミッション：インポッシブル』（1996年）のシリーズ化を機に、アクション俳優への道を本格的に歩み始めた。クルーズが、危険なスタントシーンに果敢に挑む大胆不敵さは作品を重ねるごとに拍車がかかり、そんなキャリアの変遷は、“カッコ良さ”を追求した軽快でMTV的な『トップガン』から、前代未聞の飛行シーンに真摯に取り組み、その限界に挑んだ『マーヴェリック』に大きく反映されているように思う。

　全てにおいてパワーアップした続編だが、前作へのオマージュも忘れていない。第1作で印象的だった、訓練生たちがビーチバレーに興じるシーンはアメフトに置き換えられて復活し、いかにもMTV的な懐かしさを覚えるクールな映像で楽しませてくれる。また、バイクに乗ったマーヴェリックがノーヘルでビーチ沿いを駆け抜けるシーンや、バーで訓練生たちがピアノの演奏に合わせて合唱するシーンなども前作へのノスタルジアが感じられ、新旧ファンの心に訴えかける魅力的な作品となっている。

・参照
1. https://extratv.com/2015/07/23/will-tom-cruise-reprise-maverick-role-in-top-gun-2/
2. https://www.youtube.com/watch?v=yM389FbhlRQ

※記事初出時、一部記述に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

■公開情報
『トップガン マーヴェリック』
全国公開中
監督：ジョセフ・コシンスキー
脚本：クリストファー・マッカリーほか
製作：ジェリー・ブラッカイマー、トム・クルーズ、クリストファー・マッカリー、デヴィッド・エリソン
出演：トム・クルーズ、マイルズ・テラー、ジェニファー・コネリー、エド・ハリス、ヴァル・キルマーほか
配給：東和ピクチャーズ
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