『マイファミリー』二宮和也の絶叫が響く 真犯人は親の心理を熟知する人物?
模倣犯を利用した「ノーリスクの誘拐」に生じたほころび。それは温人たちに反撃の機会を与えるものでもあった。東堂の正体がバレたことを犯人が知らないことを利用して、温人たちは実咲の監禁場所に向かう。しかし、警察の捜査を理由に犯人は取引終了を通告。事態は最悪の方向へ進んでいく。
20分にわたる濱田岳の独白が胸に迫った。「すまなかった。だけどな、信じるしかないんだよ。そうしないと心春ちゃんが生まれてきたことすらなくなっちゃうんだ。だから俺はそれだけは信じ続けなきゃいけないんだ」と東堂は三輪(賀来賢人)に謝る。一連の誘拐事件に関するトリックの核心部分を明かす場面は、愛する者のためには事件さえ起こしてしまう親という生き物の悲しさと真実を映し出し、本作随一の感動的なシーンとなった。親としての抗うことのできない感情に付け込む点に誘拐が卑劣な犯罪とされる理由があり、それは同時に人間ドラマの源泉にもなっている。
そのことは犯人の正体を知る上での手がかりにもなる。東堂を操って完全犯罪を実現しようとする犯人は、親の子に対する心理を熟知する人物だ。心春の事件後、鳴りを潜めていた犯人はなぜ新たな誘拐を起こしたのか? なぜ実咲だけ自らの手で誘拐したのか? 相関図がこれほど多義的な意味を持つドラマもないが、味方と敵の図式すら容易に反転させてしまう本作で、真犯人は意外な場所に隠れているのかもしれない。
■放送情報
日曜劇場『マイファミリー』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:二宮和也、多部未華子、賀来賢人、高橋メアリージュン、大友康平、神野三鈴、迫田孝也、那須雄登(美 少年/ジャニーズJr.)、山田キヌヲ、 渡辺邦斗、藤間爽子、大島美優、松本幸四郎、富澤たけし(サンドウィッチマン)、濱田岳、玉木宏
脚本:黒岩勉
演出:平野俊一
プロデューサー:飯田和孝、渡辺良介(大映テレビ)
スーパーバイジングプロデューサー:那須田淳
協力プロデューサー:大形美佑葵
音楽:大間々昂
主題歌:Uru「それを愛と呼ぶなら」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作著作:TBS
(c)TBS