アヴちゃんの声に魅了されること間違いなし 映画館でこそ真価を発揮する『犬王』
湯浅印のアニメーションのすごさもあり、限りなくファンタジーとも言える内容ではあります。それでも、犬王が繰り広げる舞台の仕掛けは、当時実際にあったであろうものを最大限に駆使したものになっていたり、犬王に熱狂する民衆の服装ひとつひとつが丁寧に描かれていたり、荒唐無稽な話なのに、「本当にあったかも?」と思わせる説得力が本作にはあります。名もなき人々の声を届けることを描いてきた野木脚本の醍醐味がいい形で作用しているのはもちろん、歴史監修・佐多芳彦氏の力も大きいのだと思います。
純粋に「面白かった!」と言える作品ではないかもしれませんが、観終わった後に必ず記憶に刻まれる一作です。音楽が主役とも言える作品なので、配信を待つのではなく、劇場の大音量で鑑賞することをオススメします。
■公開情報
『犬王』
5月28日(土)全国公開
声の出演:アヴちゃん(女王蜂)、森山未來、柄本佑、津田健次郎、松重豊、片山九郎右衛門、谷本健吾、坂口貴信、川口晃平(能楽師)、石田剛太、中川晴樹、本多力、酒井善史、土佐和成(ヨーロッパ企画)
原作:『平家物語 犬王の巻』古川日出男(河出書房新社刊)
監督:湯浅政明
脚本:野木亜紀子
キャラクター原案:松本大洋
音楽:大友良英
総作画監督:亀田祥倫、中野悟史
キャラクター設計:伊東伸高
アニメーション制作:サイエンスSARU
配給:アニプレックス、アスミック・エース
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