法廷ドラマとしても期待の『シー・ハルク』予告解説　『エターナルズ』と繋がる可能性も？

　マーベル・シネママティック・ユニバース（MCU）の新作ドラマ『シー・ハルク：ザ・アトーニー』の予告編が公開されました。シー・ハルクは「She-Hulk」と綴ります。そう、「SHE」！　つまり女性のハルクです。予告編を解説する前に、まずはコミックにおけるこのキャラについて説明しましょう。

　シー・ハルクは1980年、『The Savage She-Hulk #1（原題）』でデビューしました。いきなり冠タイトルの雑誌で登場。「Savage」には“獰猛な”という意味があります。誕生からワイルドですね。ストーリーは、ハルクことブルース・バナーが従妹で弁護士のジェニファー・ウォルターズを訪ねます。その時、ギャングが彼女を銃撃。彼女は犯罪事件を担当していたので命を狙われていたわけです。襲われた場所が田舎道だったため、すぐに処置をしないとジェニファーは死んでしまう！　そう考えたブルースは自分の血を輸血。それにより一命をとりとめますが、彼女はブルース同様、ハルクのように緑色の怪力巨人に変身してしまうのです。

　シー・ハルク化してもジェニファーの知性は残っているし、また弁護士としても活躍。シーハルク姿で日常生活を送るようにもなりました。マーベルの中でも人気キャラの一人です。

　このシー・ハルク誕生の背景には、TVドラマ版『超人ハルク』の影響もあったようです（アメリカでは1977年から、日本では1979年から放送）。このドラマ版のプロデューサーがサイボーグアクション『600万ドルの男（サイボーグ危機一髪）』も手掛けており、その女性版のスピンオフ『地上最強の美女バイオニック・ジェミー』を成功させた。なのでTVドラマ版『超人ハルク』にも女性版ハルクを出そうとしていました。そこでマーベルはTVの方が主導権をとる前に、コミックの方で女性版ハルクを作ろうということでシー・ハルクが生まれたようです。

　では、予告編の気になるところをチェックしていきましょう。まずは始まってすぐに登場する、武装部隊が持っている武器。映画『インクレディブル・ハルク』でハルク制圧に使った、衝撃波で敵を押さえつける武器の小型版のようです。そこから映される、転落している車両。恐らくこの自動車事故（多分、ジェニファーは襲われたのでしょう）がきっかけで、ジェニファーが重傷を負い、ブルース・バナーが輸血、シー・ハルクになる、という流れだと思います。

　そんなシー・ハルクが12秒目に登場！　緑色の体に紫のコーデで、コミック通りのイメージです。一瞬のさりげないシーンですが、この後ろ姿はかっこいい。期待が持てます。その後は、変身前のジェニファーが顔を出します。演じているのは、『オーファン・ブラック～暴走遺伝子』のタチアナ・マスラニー。“弁護士”感ありますね！　コミック通り、彼女は超人が絡む事件の専門の弁護士になります。もしシー・ハルクのドラマが『スパイダーマン：ノー・ウェイ・ホーム』より先に作られていたら、ピーターの弁護士は彼女が担当したかもしれませんね（笑）。

　さて、31秒目で登場する人は、ティム・ロス。そう映画『インクレディブル・ハルク』でハルクの敵エミル・ブロンスキーことアボミネーションを演じていました。アボミネーション自体は『シャン・チー／テン・リングスの伝説』で復活していましたが、まさかエミル・ブロンスキーの姿、つまり人間体で登場とは！　なお『シャン・チー／テン・リングスの伝説』でアボミネーションとバディ（？）だったベネディクト・ウォン演じるウォンもこのドラマに出演します。ウォンさん、MCUで最近出番が多いですね。愛されてるなあ（笑）。ちなみに『シャン・チー／テン・リングスの伝説』でウォンがポータルをあけてアボミネーションを帰す場所が、この施設でした。つまりウォンは時々、息抜きにアボミネーションを外に連れ出しているのかもしれません。

　そして35秒目で満を持して登場するのが、マーク・ラファロ演じる、ブルース・バナー／ハルクです！　やはり彼がジェニファーを導くのでしょうか？　この時、ブルースが着ているTシャツ、S.H.I.E.L.D.のロゴをパロったようなデザインですね。41秒目にはジェニファーが変身する瞬間が切り取られていますが、目が緑色になるところがまさにハルクですね。その後の予告編から、ジェニファーはシー・ハルク姿でも日常生活を送っていることがわかります。この後の描写でも、有名人としておっかけまわされたり、セレブ扱いされたりしています。

　そんな彼女がシー・ハルクに変身して暴漢を投げ飛ばすシーンも。しかし、なぜ“ただの男”に変身してまで挑む必要があるのか？　この男の着用するヘルメットが何か光っています。つまりこの男はこの不思議なヘルメットを使ったスーパーパワーを持っているのでしょうか。ちなみに、1分15秒目でも描かれるように、ハルクのパワーの一つに跳躍能力があります。

　少しだけ気になるのが、1分18秒目の彼女の発言。「（スーパーヒーローなんて）億万長者かナルシストか天涯孤独な人がなるんでしょ」とは、誰のことを言っているのでしょうか？　億万長者やナルシスト、というワードはアイアンマン／トニー・スタークを想起させます。しかし、天涯孤独な人というのはキャプテン・アメリカのことを指している気も（スティーブがペギーと別の人生を送っていることを、ジェニファーは知らないでしょうから）。