『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』にみるトム・クルーズのサービス精神

『M:I 5』トム・クルーズのサービス精神

 1996年から続く人気シリーズ『ミッション:インポッシブル』の5作目にあたるのが、『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(2015年)だ。架空の米秘密組織「IMF」(Impossible Mission Forceの略。日本語に訳せば「不可能任務部隊」の意)に所属するエージェント、イーサン・ハントの活躍を描く。

 主演はトム・クルーズ。本シリーズに懸ける彼の情熱はすさまじく、体当たりの演技は年々激しくなる一方。一部では「トム・クルーズのジャッキー・チェン化」などと冗談になるほどの危険なスタントを、自ら進んでこなす姿が話題だ。監督のクリストファー・マッカリーは、『誘拐犯』(2000年)や『アウトロー』(2012年)などを手がけており、この先公開予定の『ミッション:インポッシブル』シリーズ6作目、7作目の監督も決定している。

 本作は、イーサンが長らく追っていた謎の犯罪組織「シンジケート」とIMFとの対決を描いている。世界各国の元スパイを集めて作られた組織、シンジケートの目的は、現在の世界システムを破壊することであり、大きな事件の影には常に彼らが関係してきたとされる。陰謀論めいた怪しげなストーリーも、壮大なフィクションと割り切って楽しめる荒唐無稽さがポイントだ。

 IMFのメンバーであるベンジー(サイモン・ペッグ)、ルーサー(ヴィング・レイムス)、ブラント(ジェレミー・レナー)らのメンバーは、シンジケートの企みを阻止すべく動き始める。一方、突如としてイーサンたちの前に現れた、シンジケートとMI6(イギリスの諜報機関)の二重スパイであるイルサ(レベッカ・ファーガソン)の予測不能な動きもおもしろい。舞台となる土地は、ベラルーシ、イギリス、オーストリア、モロッコと世界各地に渡り、さまざまな風景もひとつの見どころである。どの場面にも、驚くようなアクションやスリリングな駆け引きが用意されており、観客を飽きさせない。トム・クルーズのサービス精神が随所に行き届いた、良質なシリーズだと感心させられる。

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