松本潤、年齢とともに変化を遂げた俳優人生 『となりのチカラ』連ドラ初のパパ役で新境地

松本潤、『となりのチカラ』で開いた新境地

 本作では、松本が頼りない優柔不断なキャラクターを演じれば、松嶋も白髪交じりのロングヘアにきつめのパーマ姿で、発声も変えて新たなキャラクターに挑んだ。子役も含めて登場人物が個性的で、それぞれが何かしらの問題を抱える役のなかで、埋もれず、浮かずに存在感を放てたのもこの役者魂をぶつけ合うかのような挑戦があったからだろう。また、松本が撮了時のコメントでチカラの妻・灯を演じる上戸彩について、「灯ちゃんが上戸さんでよかった」と語ったように(※)、どっしりと構えた灯も物語を大きく支えていた。

「世界中の人が隣にいる人を家族のように思える時代が来たらどんなに良いだろう」

 困っている人を放っておけないチカラ。隣人の家庭問題に首をつっこむおせっかいも、回を追うごとに少しずつ少しずつ人々の心を動かした。そして灯の家出を通して気づいた中越家の問題も、スローペースではあったがチカラらしく、言葉を交わしながらじっくりと答えを導き出した。

 少々頼りないチカラの奮闘から描かれる中腰のヒーローは、挫折からの逆転劇のような大きなふり幅はないものの、社会派ホームコメディと銘打った作品らしく、身近な問題を取り上げたことで視聴者にも自分ごとのようにして馴染み、すぐ隣にいる他者への想像力を高める機会となったのではないだろうか。「話し合う」「向き合う」「分かりあう」とは簡単に言えてしまうが、なかなか難しいことを学んだ作品でもあった。

 さて、最終話は拡大スペシャル放送。予告映像にはチカラが花束を抱えてスピーチをする姿があった。チカラをはじめ、マンションの住人たちがそれぞれどんな答えを出し、どんな結末を迎えるのか。

参照

※ https://realsound.jp/movie/2022/03/post-997333.html

■放送情報
『となりのチカラ』
テレビ朝日系にて、毎週木曜21:00〜21:54放送
※最終回は15分拡大
出演:松本潤、上戸彩、小澤征悦、映美くらら、ソニン、清水尋也、長尾謙杜(なにわ男子)、浅野和之、風吹ジュン、松嶋菜々子
脚本:遊川和彦
演出:遊川和彦ほか
音楽:平井真美子
ゼネラルプロデューサー:三輪祐見子(テレビ朝日)、服部宣之(テレビ朝日)
チーフプロデューサー:黒田徹也(テレビ朝日)
プロデューサー:秋山貴人(テレビ朝日)、松野千鶴子(アズバーズ
制作協力:アズバーズ
制作:テレビ朝日
(c)テレビ朝日

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