前作を越えた『SING/シング:ネクストステージ』 ファミリー層を虜にする選曲のセンス

前作を越えた『SING2』

思わず歌い出したくなる曲の数々

『SING/シング:ネクストステージ』予告|ストーリー編

 だが、そんな深読みやテーマの掘り下げが野暮に感じられるほど、『SING/シング:ネクストステージ』は面白い。なにせ、選曲が秀逸なのだ。

 本作のターゲットは幼稚園から小学校高学年の子どもをもつファミリー層だろう。筆者がそう感じたのは、選曲だ。使われているのは、ここ数年のヒット曲と、90年代のヒット曲に大きく分けられる。いや、コロナ禍前に、通勤通学途中の車内ラジオで子どもと一緒に聞いて口ずさんだ曲と、親世代が若かりし頃に聞いていた曲と言い換えることもできるかもしれない。

 とにかく、筆者の心に見事に突き刺さった。挿入歌のひとつとしてディオンヌ・ワーウィックの「小さな願い(I SAY A LITTLE PRAYER)」(1967年)が流れるが、この曲は1997年のラブコメディ映画『ベスト・フレンズ・ウェディング』のテーマソングでもあるので、親世代と祖父母世代にとって思い出深い曲だ。この曲が流れるシーンには、他の曲も候補にあがり、それらも同じくらいの時代にヒットしたものだった。最終的に「小さな願い」が流れたときには、「製作側のわかっている感」にたまらなく嬉しくなった。

 例を出すと止まらないが、とにかく『SING/シング:ネクストステージ』は最初から最後まで、思わず口ずさみたくなる曲でいっぱいなのだ。

 ベタ褒めしてしまったが、観た人にはきっと共感してもらえると思う。劇中劇の迫力は大画面で観てこそなので、是非とも劇場に足を運んでもらいたい。

■公開情報
『SING/シング:ネクストステージ』
全国公開中
監督・脚本:ガース・ジェニングス
製作:クリス・メレダンドリ、ジャネット・ヒーリー
キャスト:マシュー・マコノヒー、リース・ウィザースプーン、スカーレット・ヨハンソン、タロン・エジャトン、トリー・ケリー、ニック・クロール、ボビー・カナヴェイル、ホールジー、ファレル・ウィリアムス、ニック・オファーマン、レティーシャ・ライト、エリック・アンドレ、チェルシー・ペレッティ、ボノ
日本版キャスト:内村光良、MISIA、長澤まさみ、大橋卓弥(スキマスイッチ)、斎藤司(トレンディエンジェル)、大地真央、坂本真綾、田中真弓、ジェシー(SixTONES)、アイナ・ジ・エンド(BiSH)、稲葉浩志
配給:東宝東和
(c)2021 Universal Studios. All Rights Reserved.
公式サイト:http://sing-movie.jp
公式Twitter:@SingMovieJP
公式Facebook:@sing.movie.jp

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