『DCU』瀬能を踏みとどまらせた新名との絆 阿部寛は『テルマエ・ロマエ』の再来も?

『DCU』瀬能を踏みとどまらせた新名との絆

 『DCU』(TBS系)は、最終回直前の第8話。新名(阿部寛)が瀬能(横浜流星)に渡したのは何の鍵だったのか。瀬能の記憶に注目が集まった。

 第8話の舞台は三重県。成合(吉川晃司)が潜伏する総合レジャー施設のホテルは、瀬能の父・陽一(西尾浩行)の元同僚である戸塚(田辺誠一)が支配人を務めていた。真子(市川実日子)を伴い、西野(高橋光臣)と極秘捜査で訪れた新名。戸塚に、陽一が関わった研究データの横流しについて尋ねたその直後、浴場で西野が襲われる。犯人の狙いは新名で、温泉の成分にない硫黄を混入して中毒死させようとしていた。

 その頃、瀬能は鍵穴を探して、陽一行きつけの釣具店へ。父が残したバッグに目ぼしいものはなかったが、成合に「君の記憶は本当の記憶なのか?」「本当の記憶を取り戻せ」と思わせぶりな言葉をかけられる。成合は、新名が瀬能をだましてマインドコントロールしている可能性を示唆し、瀬能に設計図を探すように促す。バディ解消のピンチに陥った新名と瀬能は、それぞれ陽一が隠した設計図の秘密を探ることになる。ところが、戸塚に浴場で起きた犯行を問いただした新名は、気を失って客室内の浴槽でおぼれてしまう。

 阿部寛と入浴施設の組み合わせを目にすると、あの映画に触れないわけにはいかない。2012年公開の『テルマエ・ロマエ』で、阿部は古代ローマの浴場設計技師ルシウスを演じて話題になった。同作では入浴中におぼれて現代の日本にタイムスリップする設定だったが、『DCU』で目を覚ますとそこは15年前、ではなく元いたホテルの客室。技師のルシウスと違い、手錠を持ったダイバーであるDCU隊長は、危険を察知し、罠を逆手にとって相手の身柄を確保した。

 戸塚の口から告げられた陽一の真実。陽一はテロリストではなく、情報を横流ししたのは東都重工の上層部であり、陽一にぬれぎぬを着せることで事実を隠蔽しようとしていた。陽一が持っていた完全版の設計図データの在りかを知るのは、瀬能ただ一人。苦悶の末に父との記憶を取り戻した瀬能は、ついに鍵穴の所在にたどり着く。

「お前が一番信頼できる人に渡すんだぞ」

 父の声が脳裏によみがえる中で、瀬能は手に入れたデータを成合に……。疑惑に覆われた父の死。真相を知る男たちの一方は沈黙し、一方は自分を信じろと迫る。元相棒の2人の間で引き裂かれる瀬能を救ったのは、幼い頃のもう一つの記憶だった。

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