松岡昌宏が泣き出しそうな表情でしがみつく 『逃亡医F』藤木&拓郎による妙子の奪還

『逃亡医F』藤木&拓郎による奪還

 妙子(桜庭ななみ)が生きている。その事実が明らかになった今、藤木(成田凌)の目的は、冤罪を晴らすことではない。拓郎(松岡昌宏)の目的もまた、復讐ではない。彼らが成し遂げたいのはただ一つ、妙子の奪還だ。『逃亡医F』(日本テレビ系)第9話は、緊張感に満ちていた。

 妙子を助けたいのなら、佐々木(安田顕)に「DDSη」の完成データを渡さなければならない。「DDSη」と、佐々木が開発している薬を併用すれば、妙子を救える可能性があるからだ。しかし、佐々木には妙子を治療する意思はない。そもそも、助けるような男ではない。データさえ手に入れば、その瞬間に妙子は用無し。恐ろしい話だが「焼却処分」だ。

 しかし、藤木には交渉の切り札があった。過去、秘密裏に行われた“かもしれない”自身への「DDSη」の試験投与ーーすなわち、水面下での臨床実験をクリアした“かもしれない”自身の血液サンプルだ。佐々木の薬・「DDSη」・藤木の血液、この3つが揃うことで、「DDSη」を使った治療は成功するのだと、佐々木を怒らせないギリギリの線を攻めつつ、藤木は交渉をすすめる。妙子が生きている、そのかすかな希望が天才を冴えわたらせる。

 車で待機する拓郎の表情にも、明らかな変化が見えた。狂犬のようだった男が、今は弱々しくさえ見える。拓郎は、ただひたすらに大切な者ーー妙子はもちろん藤木のことを心配し、守ろうとしている。一方で、直接的には力になれない自分がもどかしくもあるのだろう。命ともいえる「血液」で妙子を救えるかもしれないのなら、きっと一滴残らず捧げたいであろうほど、大切な妹なのに。拓郎は、妙子のためなら鬼になると、悲しむことさえ後回しにしてきた。医療に精通していない分、「妙子が生きている」という言葉をどう受け止めれば良いのか、まだ分からないのかもしれない。

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