第94回アカデミー賞7部門ノミネート 『ベルファスト』3月18日より一部劇場で先行公開決定

 3月25日より全国公開される映画『ベルファスト』の先行上映が、3月18日から一部劇場で行われることが決定した。

 本作は、俳優・監督・演出家として映画や舞台の最前線で活躍し続けるケネス・ブラナーが、自身の幼少期を投影した自伝的作品。北アイルランド ベルファスト出身のブラナー自身が監督・製作・脚本を担当した。第46回トロント国際映画祭にて、最高賞にあたる観客賞を受賞、アカデミー賞前哨戦と言われる第27回放送映画批評界協会賞では最多11部門ノミネート、第79回ゴールデングローブ賞では脚本賞を受賞。また、第94回アカデミー賞では、作品賞、監督賞、助演女優賞、助演男優賞、脚本賞、主題歌賞、音響賞の7部門でノミネートを果たした。

 ベルファストで生まれ育ったバディ(ジュード・ヒル)は家族と友達に囲まれ、映画や音楽を楽しみ、充実した毎日を過ごす9歳の少年。笑顔にあふれ、たくさんの愛に包まれる日常は彼にとって完璧な世界だった。しかし、1969年8月15日、バディの穏やかな世界は突然の暴動により悪夢へと変わってしまう。プロテスタントの武装集団が、街のカトリック住民への攻撃を始めたのだ。住民すべてが顔なじみで、まるで一つの家族のようだったベルファストは、この日を境に分断されていく。暴力と隣り合わせの日々のなか、バディと家族たちは故郷を離れるか否かの決断に迫られる――。

 3月18日に行われる先行上映は、TOHOシネマズ シャンテ、TOHOシネマズ 梅田の2箇所にて行われる。

 また、公開に先駆けて、本作を干渉した著名人から応援コメントが到着。さらに、『おやすみ日本 眠いいね!』(NHK総合)の「眠いい昔ばなし」の絵を担当するイラストレーターの死後くんや、ブログではじめた1ページ漫画シリーズ『センネン画報』で知られる漫画家の今日マチ子からは、作品をイメージしたオリジナルの描き下ろしイラストが公開された。

コメント

奥田瑛二(俳優・映画監督)

今……人は本来の姿を忘れかけているのかもしれない。
この作品は生きる、過ごす、暮らす、家族、そして人との繋がりを気付かせ、取り戻してくれる珠玉の作品である。

岡田惠和(脚本家)

つらい時代に翻弄された家族の話なのに、なんとも言えない多幸感に包まれ、ずっとこの家族を観ていたくなる。生きている人たちが皆、気高く心根が美しいからだ。ケネス・ブラナーの名作がまた一つ増えた。

今日マチ子(漫画家)

時代の変化に押し流される、幼少期のあたたかで完璧な世界。わたしたちはより良い選択をするために、常に失いながら生きていくのだ。かつての思い出に支えられながら。

死後くん(イラストレーター)

好きな子と近い席になれて嬉しかったこと、親が泣いてるのを見たときのなんとも言えない気持ち、悪いことをしたあとの罪悪感、自分が子供の頃に感じた様々な気持ちを思い出してしまいました。ラストは「おばあちゃーん!」と心で泣き叫んだ。

中江有里(女優、作家、歌手)

故郷は自分という人間を作り、育ててくれた、自分と切り離せない場所。
鑑賞中『ベルファスト』は体の一部のようだった。そして観終わった今も、心の中にあり続ける。

ピーター・バラカン(ブロードキャスター)

自分が住む素朴な街が戦場のように急変しても、巻き込まれまいと日常生活を続ける家族の揺るがない愛情が何よりも印象的な作品です。そして要所要所で登場人物の気持ちを表すのがベルファストという街の象徴とも言えるヴァン・モリスンの楽曲です。ブラナー監督の選曲に深く頷きます。

シトウレイ(フォトグラファー・ジャーナリスト)

例えば諍いや対立が起きたとき、すべての人は自分の方に正義があると信じているし、
その正義のもとに相手と戦う。
どちらかが善でどちらかが悪という二項対立で自分と他者を振り分けるけれど、基本的に
善悪は存在しない。考え方や価値観の違いがそこにあるだけで。
BELFASTの紛争にまつわる物語を紡ぐ監督の視座は、改めてその普遍的事実を教えてくれる。

豊田エリー(女優・モデル)

愛する故郷が分断される。その不安感や、懸命に明るく生きていく強さが丁寧に描かれた一作。
監督の眼差しは去る者にも、残る者にも優しく、故郷と家族へ綴った私的なラブレターを読ませてもらったような気持ちになった。

瀬戸あゆみ(モデル・Dear Sistehoodディレクター)

白黒映画なのに、いや、だからこそ。
少年バディの瑞々しく輝く瞳が、とても印象的だった。
バディと、家族と、ベルファスト。
自分の中にもある、家族や故郷の存在も、特別なものとして何度も思い起こされた。

総合映画情報オスカーノユクエ

モノクロ映像なのに色褪せず、むしろキラキラして見えるのは気のせい? ケネス・ブラナー監督が自身を投影した少年の心象風景は、タフで厳しい環境に翻弄される人々の苦悶と反比例するように輝きを増していく。特に、家族みんなで映画館に訪れるシーンの神々しさときたら……(涙)。

佐藤泰人(東洋大学准教授・日本アイルランド協会理事)

これは9歳でベルファストを去ったケネス・ブラナー監督の帰郷の物語ともいえる。過去とは、故郷とは、コミュニティーとは、家族とはなんだろうか。去った人へ、そして残った人へ捧げられた映画。

■公開情報
『ベルファスト』
3月18日(金)TOHOシネマズ シャンテ、TOHOシネマズ 梅田にて先行上映
3月25日(金)全国公開
製作・監督・脚本:ケネス・ブラナー
出演:カトリーナ・バルフ、ジュディ・デンチ、ジェイミー・ドーナン、キアラン・ハインズ、ジュード・ヒル
配給:パルコ ユニバーサル映画
2021年/イギリス/ビスタサイズ/98分/モノクロ・カラー/英語/5.1ch/原題:Belfast
(c)2021 Focus Features, LLC.

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